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M&A初めの第一歩!まずは専門家に相談してみよう!

みなさま新年あけましておめでとうございます。といっても、早いもので2月ですね。また、おめでたい気分に水を差すように世界中で新しい変異株が急激に広がっています。幸い重症化率は低いようですが・・・。しっかり栄養をとって、手洗い・うがいには特に気を配りましょう。

堺なかもず経営支援センター山本哲也です。大阪府堺市であなたのちょっとした変化を応援しています。

 

M&Aについていろいろなセミナーに顔を出したり書籍を読んだりしてインプットをしても「M&Aは、ケースバイケース」という結論が多く、自分たちのアクションにつながりづらいというお悩みをよく聞きます。

いつものように、M&Aを活用してさらなる目指す若手経営者ツナグの独り言からお聞きください。

 

僕は、ツナグ。友人と始めた会社も少しずつ軌道に乗ってきたので、これからさらに大きく成長させて行く上で、いろいろな方法を検討し始めた。

先輩たちの事業を研究しているうちに、会社を丸ごと買い取って自分たちにない強みを手に入れたり、廃業する企業から顧客を引き受けたりするM&Aがどんどん増えているようだ。ネットでも調べてみたし、何冊も専門の書籍も読んでみた。でも、どれも一般論で、自分たちが具体的に何からやればいいのか教えてくれる本には出会えなかった。

「僕たちが何からやればいいのか?!今のうちからちょっとしたことでも相談に乗ってくれる先生がいたらなぁ」

 

身近な専門家

経営について相談できる身近な専門家と言えば、税理士を挙げる人が多いのではないでしょうか?それもそのはず、税理士は、全国におよそ8万人います。これは、全国の小学校校区内に4名以上の税理士がいる計算になっています。人口密度の高い都会では、この数値よりも多いと考えられますので、身近な存在と言えそうです。

まずは情報収集程度であれば、自社のことをよく知ってくれている身近な専門家に相談するところから始めるのがお勧めです。

しかし、具体的な検討段階に進むのであれば、M&Aに関する実績が何件くらいあるのか、専門的な支援が期待できるスキルを持っているのか、なども確認した上で相談するようにしてください

経営の専門家たちにも、専門分野や得意分野があるためです。

また、M&Aは会社や事業の売買のため、その事業内容や規模によっては税理士だけなく多様な専門家の支援が必要となります。専門家のネットワークを持っているかどうかも確認しておきたいところです。

税理士:税金に関する相談

弁護士:株式譲渡契約や労働契約、買収企業と取引先との契約など

社会保険労務士:社会保険や労働者の移籍に関する相談

弁理士:買収先が所有する特許の移転などに関する相談

中小企業診断士:M&A戦略の立案、買収先リストアップや経営状況の確認、経営統合後の戦略策定、各専門家のコーディネートなど

 

無料で相談できる公的機関

身近にM&Aに関して相談でいる専門家が見つからない場合は、公的機関も積極的に活用してみましょう。経営者の高齢化が進むわが国では、事業承継は大きな社会課題として国も注力している分野のため、全国に専門の相談窓口が用意されています。また、専門家の紹介を受けることも可能です。

 

・事業承継・引継ぎ支援センター(https://shoukei.sMrj.go.jp/#support_detAil)
各都道府県に1か所以上設置されています。一般的なM&Aの相談だけでなく、親族や従業員への承継支援、後継者探しなどまで幅広い相談に対応してくれます。また、承継の際に問題となることの多い経営者保証解除に向けた支援もしてくれます。まずは、こちらに出向くのが得策です。

 

・各地域の商工会及び商工会議所

        さらに身近な相談窓口としては、自社の活動エリアにある商工会や商工会議所ではないでしょうか?商工会・商工会議所は、地元企業の集まりですので、幅広い相談に対応が可能ですし、各士業専門家とのつながりも深く、自社の課題や規模などによって適切な専門家とつないでもらうことが期待できます。また、各自治体や金融機関との連携も密に取っていますので、幅広い支援を受けることが可能です。もし、あなたが会員でなくても、まずは、相談だけでもしてみることをお勧めします。

 

とめ

今回は、M&Aに関心を持ち始めた初心者の方向けに、気がるに相談できる窓口についてご紹介しました。まずは、公的機関で相談することで、あなたにあった専門家と出会える可能性が高まります。また、誰かに相談することであなたの頭の中にあるM&A戦略も整理が進み、より具体化することも期待できます。ために支援者

以前にご紹介しましたが、M&Aを成功させている経営者の多くが「案件が発生する前から計画的に準備を行うこと」を実践しています。この記事に出会ったことを良い機会として、身近な専門家や公的機関の無料相談を活用してみましょう。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。

中小企業診断士 山本 哲也

事業復活支援金 事前確認(無料・Zoomによるオンライン)について

2月1日より事業復活支援金の事前確認のご予約を開始します。
枠が限られていますので、ご了承ください。

ご予約は下記のページからお願いします。
https://timerex.net/s/Stella-Consulting/3a893db8

 

【お願い】
・事前確認はZoomを使ってオンラインで実施します。
事前に接続に問題がないか、確認をお願いします。

・事前のご連絡なく無断キャンセルをされた場合(15分経過してもZoomミーティングに入室されない場合)は、キャンセル料2,000円を請求いたします。
都合がつかなくなった場合は、必ずキャンセルをお願いいたします。

・必要書類が揃っていない状態で事前確認を受ける方がいらっしゃいます。
下記の書類を紙またはデータでご用意の上、ご参加ください。
①本人確認書類/履歴事項全部証明書
②収受日付印の付いた、以下の期間分の確定申告書の控え
(e-Taxの場合は、受信通知メールのある確定申告書の控え又は受付日時が印字された確定申告書)
★ 中小法人等 :2019年11月、2020年11月、基準期間を含む全ての事業年度
★ 個人事業者等:2019年、2020年、基準期間を含む全ての年分
③2018年11月から対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書等)
④2018年11月以降の全ての事業の取引を記録している通帳
⑤代表者又は個人事業者等本人が自署した「宣誓・同意書」(事務局のWEBサイトからダウンロード)

スモールM&Aに必要な資金調達とは~賢い融資制度の活用法

事業承継のニーズの高まりとともに第三者承継の手法としてM&Aを活用するケースが増回しています。政府は、事業承継・引継ぎ補助金や事業承継税制などによって中小企業のM&A支援策を拡充していますが、譲受を希望する企業に資金が潤沢にあるとは限りません。特に、譲受企業が中小企業である場合は、資金調達の成否がスモールM&Aの実現を左右することも少なくないのです。

 

1.中小企業のM&Aにどんなお金が必要となるの?

スモールM&Aの多くは、事業譲渡や株式譲渡により実施されます。中小企業白書(2018年)によると事業譲渡41.0%、株式式譲渡40.8%、合併15.0%、その他3.1%と、この2つの実施形態が約8割を占めていることがわかります

つまり、事業譲渡の対価を支払うための資金や経営者等が保有する株式の取得資金の調達が必要になるケースが多くなるのですが、中小企業の事業承継融資を取り扱っている日本政策金融公庫によると、実際にはもっと多様な必要資金が融資対象となっているようです。

 

2.M&Aを支えるスモールM&A向け融資

(1)スモールM&Aに伴う資金ニーズと融資活用事例

M&Aにおいてはどのような資金が必要なのか、日本政策金融公庫のHPで紹介されている融資事例を見てみましょう。

  • 株式の買い取り資金

公共工事を中心に手がける建設会社A社は、事業拡大のために同業であるB社の買収を決断。A社は、B社の株式を取得する資金として7,000万円の融資を受け、B社を子会社化。

  • 営業権や事業用資産の買い取り資金

広告代理店に勤務するCは、自身がよく訪れている雑貨店Dが店を畳むことを知り、店を受け継ぎたいとの希望を伝えた。CはDと事業譲渡について合意し、営業権や店舗設備、在庫の買い取り資金として600万円の融資を受け、Dの店を受け継いだ。

③M&Aに伴うリニューアル資金

洋菓子製造業を営むE社は、事業多角化を目的として、飲食業を営むF社からレストラン1店舖を譲り受けた。

E社は、老朽化した店舗の内装・機械設備の刷新やオープン当初の仕入に必要な資金として1,200万円の融資を受け、F社から譲り受けたレストランのリニューアル・オープンを行った。

④M&Aによる新たな取組み

システム開発やWebサービスの提供を行うG社は、新分野への進出を目的として、ソフトウェア開発を行うH社を買収。

買収後、G社は、H社の持つセキュリティ関連技術を活用したWebサービスの開発資金として4,500万円の融資を受け、新たなWebサービスの提供を開始した。

 

このようにM&Aに伴い直接的に発生する株式や事業資産の取得資金のみならず、M&Aにより取得した事業をより高付加価値化するための店舗リニューアルや、新規事業の開発資金などに公庫融資が活用されているのです。

 

(2)スモールM&A向け融資の概要

日本政策金融公庫のスモールM&A向け融資とはどのようなものなのか、その制度概要と、融資の活用状況についてみてみましょう。

①制度概要

日本政策金融公庫スモールM&A向け融資とは、国民生活事業で取り扱われている「事業承継・集約・活性化支援資金」のことです。事業承継に必要な運転資金・設備資金について長期間、有利な利率で融資を受けることが可能です。

 

【対象者】

イ.現経営者が後継者(候補者を含む。)とともに事業承継計画を策定している方

ロ.安定的な経営権の確保等により、事業の承継・集約を行う方

ハ.経営承継円滑化法に基づき認定を受けた中小企業者の代表者等

ニ.事業承継に際して経営者個人保証の免除等がネックになり取引金融機関からの借入が難航したため経営者個人保証を免除した公庫融資を受ける方

ホ.事業の承継・集約を契機に、新たに第二創業(経営多角化・事業転換)または新たな取組みを図る方

 

【融資限度額】

7,200万円(うち運転資金4,800万円/他の公庫融資と別枠)

 

【返済期間】

設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金:7年以内(既往の公庫融資の借換を含む場合:8年以内/うち据置期間2年以内)

【利率】

基準利率(2.06~2.55%)のほか、条件により特別利率(基準金利から最大0.65~0.85%程度の優遇あり)の適用あり(令和3年12月1日現在)

 

  • スモールM&A向け融資の活用の状況

運転資金・設備資金のいずれも、500万円以下が約6割、1,000万円以下が約8割となっており、小口資金の利用が過半を占めています。

 

【運転資金】

2,000万円超         5%

1,000万円超2,000万円以下  14%

500万円超1,000万円以下  16%

500万円以下        65%

 

【設備資金】

2,000万円超        4%

1,000万円超2,000万円以下 15%

500万円超1,000万円以下  22%

500万円以下        59%

(注)設備資金には、譲渡企業から買い取る譲渡企業の株式、営業権、事業用資産(店舗、機械設備等)等を含みます。

 

なお、M&A資金が高額になる場合等は、協調融資といって複数の金融機関が融資を行うケースもあります。日本公庫のスモールM&A向け融資においても、約2割は民間金融機関との協調融資となっています。

 

なお、業種別では卸売・小売業の方の利用が約2割と最も大きく、運輸業、サービス業、飲食店、宿泊業等、さまざまな業種で融資が活用されています。

 

【内訳】

卸売・小売業21%、運輸業21%、サービス業19%、飲食店・宿泊業10%、

医療・福祉7%、製造業6%、不動産業5%、建設業4%、教育・学習支援3%、

情報通信業2%、その他2%

 

従業者規模別では、従業者数5人以下の方が7割、従業者数20人以下の方が約9割となっており、融資先の大半が小規模事業者です。

また、融資の9割は無担保融資であり、一般的な融資と比べても有利な条件と言えそうです。

 

(出所)国民政策金融公庫ホームページより:2019年度の事業承継・集約・活性化支援資金の融資件数(国民生活事業)のうち、第三者承継に係る融資707件を抽出・分析したもの。

 

3.経営承継円滑化法の有効活用

 

事業承継の円滑化を目的に制定された「経営承継円滑化法」では金融支援策として融資と信用保証の特例措置が規定されています。具体的には、事業承継の際に必要となる資金について、都道府県知事の認定を受けることを前提に、上述の日本政策金融公庫の制度融資や中小企業信用保険法の特例(信用保証)を活用することができる制度です。

2018年7月に「これからM&Aにより他社の株式や事業用資産を買い取るための資金」も融資や信用保証の対象として追加され、これから他の中小企業者の経営を承継しようとする中小企業者や事業を営んでいない個人が利用できることになりました。

スモールM&Aでの後押しをする制度として活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

なお、他の中小企業者からM&Aにより経営の承継を行う会社が、経営承継円滑化法による金融支援について都道府県知事の認定を受ける場合には、一定の要件を満たすことが必要です。

 

①M&Aにより承継される中小企業の要件

・当該中小企業の役員又は親族の中に、後継者候補となる者がいないこと

・当該中小企業者における経営者が、その年齢、健康状態その他の事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であること

 

②資産の承継に関する要件

・「経営の承継に不可欠な資産」を承継する見込みであること

例)株式譲渡による承継の場合、総議決権の過半数を超える議決権を保有することとなる数の株式等が該当。また、事業譲渡による承継の場合、事業用資産等が該当。

 

まとめ

 

融資には金融機関等の審査が伴うため、せっかく基本合意に至っても融資審査に予想以上に時間を要したり、必要な資金調達額に満たなかったりすることでM&Aがブレークしてしまう事例も少なくありません。

M&Aによる事業承継を円滑に進めるためには、専門家を通じて早い段階から金融機関との相談を進めておくことも重要な取り組みであると言えそうです。

 

 

中小企業診断士 伊藤一彦

 

ご存じですか?!国がスモールM&Aを補助金で支援してくれます。その3

事業承継・引継ぎ補助金の交付決定が発表されました

令和3年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の二次公募の審査が終わり、交付決定事業者の発表が、ホームページ上で行われました。

「経営革新」については申請総数136件から75件、「専門家活用」については申請総数270件から236件という結果でした。ちなみに令和2年度は、「経営革新」が、申請総数375件から187件、「専門家活用」は、申請総数420件から330件でしたから、およそ4割減少しました。経産省には、この結果を受けて、今後さらに使いやすい制度に変化させることが期待されています。

 

活用事例

この補助金の最大の特長は、M&Aが実現に至らず、準備時点で終わっても支援を受けた専門家に対する経費が補助の対象になっている点にあります。つまり、今後の事業運営に悩む経営者に事業承継のきっかけを与えることを狙った制度でもあります。具体的に彼らは、どのように本制度を活用したのでしょうか?買い手と売り手に分けて見てみましょう。

 

買い手支援型

  1. 経営資源の引継ぎを実現させるための支援

これは、戦略的にM&Aを行っている買い手企業が補助金の後押しを受けて、事業承継を実現した事例です。異業種との統合においても専門家の支援があることで、スムーズに行うことができている事例です。

 

事例1

学習塾を主な支援先としているIT企業(経営者20代)が、顧客と同業の学習塾を統合。これまでのサービス提供で培ってきたノウハウを活かしたシナジーを発揮することに加え、顧客視点も手に入れる計画。M&Aサイトの利用料とDDからクロージングにいたるまでの専門家経費について補助を受けて実現しました。

 

事例2

後継者不在に悩む地元企業(異業種)の事業承継を経験したことをきっかけに、地元への貢献と自社の商材の幅を広げる目的で戦略的にM&Aに取り組んできました。案件発掘からクロージングまでの一切を民間FAへ委託する経費について補助を受けて取り組みました。

 

  1. 経営資源の引継ぎを促すための支援

これは、戦略的にM&Aを行っている買い手企業が同業他社の経営統合に活用した事例です。経営統合にあたって発生する各種の問題や法的な課題に対して専門家の支援を受けることでスムーズに統合を成功させた事例です。

 

事例1

運輸業を祖業に倉庫業やコールセンター業務など関連市場へ多角を進めていましたが、今回は、案件が持ち込まれたことをきっかけに同業他社を統合しました。人材確保や得意先の拡大を目的として取り組み、着手からクロージングにかけて、人材確保をスムーズに進めるため、社会保険労務士事務所の支援を受け、その費用に補助金をあてました。

 

売り手支援型

  1. 経営資源の引継ぎを実現させるための支援

これは、後継者不在などを理由に事業承継を決断した売り手企業に対して、専門家がクロージングまで伴走して、事業承継の実現を支援した事例です。

 

事例1

業歴が長く、安定した取引先を持つ製造業であったが、後継者が不在であったため、廃業を検討していた。しかし、従業員150名超の雇用継続と取引先へ迷惑をかけたくないと考えていたところ取引金融機関からの推薦で同業者へ承継することできた。今回は、事前相談からクロージングまで金融機関の支援を受けて実現できました。

 

事例2

50年以上の業歴のある映像制作事業であったが、社長の急逝により家族がいったん事業承継をしたが、その後の後継者が不在でした。従業員の雇用継続と取引先を引継ぎできる相手先を専門事業者の支援を受けて探索。その結果、映像の活用に注力しているEC小売り企業とのマッチングに成功しました。民間のFA事業者に事前相談からクロージングまで全面的に支援を受けました。

 

  1. 経営資源の引継ぎを促すための支援

これは売り手企業側が、買い手の情報提供だけではなく自社の概要書の作成など、準備段階から専門家の支援を受けた事例です。このように、事業承継が完了しなくても利用できることがこの制度の特長でもあります。

 

事例1

清酒の醸造販売事業者。コロナ前までは、高齢の経営者でしたが、新しいことにも取り組み、業容を拡大していました。しかし、今回のコロナの影響が大きく、今後の事業継続に対する不安が膨らみました。そこで、民間のM&A仲介会社と契約し、ノンネームシートや企業概要書の作成から支援を受けて同業他社を中心に広く引受先を探索中です。

 

事例2

新規参入が少なく安定した皮革卸業であったが、コロナの影響で需要が激減し、資金繰りにも困る状態となってしまった。高齢の経営者は廃業も検討したが、雇用の継続とノウハウの引継ぎを目的に事業譲渡先を探索中。本補助金でM&A仲介事業者の支援を受けて企業概要書の作成や引受先を広く探索しています。

 

まとめ

今回は、補助金事務局のサイトで公開されている活用事例のいくつかについて概要を紹介してみました。どの事例も専門家をうまく活用しながらM&Aを成功させています。そのきっかけは様々ですが、共通点は、「案件が発生する前から計画的に準備を行うこと」です。

本補助制度は、来年度も同じような時期に公募があることが見通されていますので、関心をお持ちでしたら、専門家や金融機関の無料相談を活用してみましょう。そして、事業の棚卸から今後の見通しまで大雑把にでも整理してみることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト:https://jsh.go.jp/r3/

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。

中小企業診断士 山本 哲也

M&Aの目的を達成するための事業DD②

事業DDの続き

今回は、前回に引き続き事業DDとは具体的にどのようなことを行うのかについて説明をしていきたいと思います。

 

内部環境分析について

事業DDでもっとも重要なのが、内部環境分析です。売り手が業績不振を背景にM&Aを希望する場合、内部環境に何らかの問題を抱えていることが少なくないからです。

内部環境分析際は、おおむね以下の観点から検討を加えていきます。

1 企業の経営理念とこれに基づく経営戦略

2 経営戦略を実行する組織の体制と従業員

3 営業活動

4 財務状況

 

企業の経営理念とこれに基づく経営戦略

経営理念とは、経営者が考える当該企業の存在意義をいいます。経営理念は抽象的なものであり、それ自体に何か問題があるということは少ないといえます。しかし、経営理念は、経営戦略の方向性を決定するものです。

経営戦略とは、企業がどの事業領域(ドメイン)を設定し、その中で限られた経営資源を活用していかに持続的競争優位性を確保していくかの具体的な指針です。企業の経営戦略の中には、単に外部環境に対するその場しのぎの対応となっており、一貫性を欠くものがあります。経営理念と関連付けることで、一貫した経営戦略を立てることができるといえます。事業DDでは、このような問題がないかを確認していきます。

 

経営戦略を実行する組織の体制と従業員

『組織は戦略に従う』(チャンドラー)との指摘もあるように、一貫した経営戦略を立てていたとしても、戦略に対応した組織体制になっていないことがあります。例えば、経営戦略としては、現場重視でボトムアップ型の意思決定や柔軟な対応を志向しているにもかかわらず、実際の組織体制は、社長に権限が集中しており、トップダウン型の意思決定になっていたり、現場に権限がなく画一的な対応しかできなくなっていたりしているといったようなものを上げることができます。仮に経営戦略に合わない組織体制となっている場合は、どうすれば組織の改善ができるかも併せて検討していきます。

そして、組織を構成する従業員に関する検討も内部環境分では欠かすことができません。従業員の属性(年齢・役職・勤務年数)のバランスは適切か、業務に必要なスキルを有している従業員を確保できているか、人材の育成体制(特にOJT)は整っているか、公正な給与体系や人事評価になっているかなどを確認していきます。

 

営業活動

いうまでもなく、営業とは製品やサービスを売るための活動です。事業DDでは、売れるための仕組みをどのようにして作っているかを確認していきます。その際に用いる分析の枠組みとして4Pと呼ばれるものがあります。4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通・販路(Place)、販促(Promotion)の4つをいいます(いずれも「P」で始まることから4Pといわれています。)

これらの切り口に着目して、市場、ニーズの把握は適切か、自社の強みが発揮できているか、競合との差別化・優位性が確保できているか等について確認していきます。このほか、具体的な業務の流れに着目し、無駄な作業がないかなどを確認していきます。そして、問題があるようであればその原因と改善の方向性も併せて検討していきます。

 

財務状況

決算書を用いて、財務状況を分析します。分析の際は主に、収益性、効率性、安全性の3つの観点から分析をします。

収益性とは、会社が利益を獲得する能力をどの程度保有しているかを示すものです。ここにいう「利益を獲得する能力」とは、具体的には売上げに対して、どの程度利益を上げることができるかを意味します。したがって、収益性は、「売上高営業利益率」などのように、売上高に占める利益の割合が指標として用いられます。

効率性とは、事業に用いるために投下された資産による売上への貢献がどの程度あるかを示すものです。ここにいう「投下された資産」とは、棚卸資産(在庫商品)や固定資産等を意味します。効率性は、「固定資産回転率」などのように、主に売上を事業に要する資産で除したものを指標として用います。

安全性とは、会社が負担している債務についてどの程度弁済能力があるのかを示すものです。安全性は、短期の債務の支払能力に関する短期安全性(流動比率など)や会社の長期にわたる資金調達の健全性に関する長期安全性(自己資本比率など)があります。

前回のコラムでも述べましたが、事業DDにおいて重要なのは、指標という数字そのものではなく、「なぜそのような数字となっているのか」・「どうすればその数字は改善できるのか」をこれまで行ってきた経営戦略、組織、営業に関する検討の結果を踏まえながら具体的に分析していくことです。定量的な分析と定性的な分析とが合わさることによって深みのある分析が可能となります。

SWOT分析と事業の評価について

SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)に分けて4象限の表を用いて分析するものです。SWOT分析の表は一覧性に優れているので、これまでの分析のまとめとして用います。

そして、SWOT分析を踏まえて、当該企業がM&Aの売り手の抱える問題点と改善の方向性・可能性のほか、買い手にとって当該企業のM&Aがどのようなメリットをもたらすかについても分析していきます。

 

M&A後を見据えて

本稿では、2回にわたり事業DDの概要について解説しました。特に買い手にとって、M&Aはゴールではなく、新たな事業展開のスタートであるといえます。とはいえ、M&Aの交渉を行っているとどうしてもM&Aを成立させることに注視してしまいがちです。その意味で、M&A後を見据えた検討を行うためにも、事業DDは有効なといえるのではないでしょうか。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久 

令和3年度 中小企業経営診断シンポジウム 中小企業診断協会協会長受賞しました

2021年11月4日に開催された令和3年度 中小企業経営診断シンポジウム 第一分科会にて論文発表をさせていただき、中小企業診断協会会長賞を受賞しました!

 

令和3年度 中小企業経営診断シンポジウム

テーマ 変化する時代を乗り越える経営革新 ― ビジネス変革を支援する中小企業診断士 ―
開催日時 2021年11月4日(木) 10:15〜17:40
開催会場 東京ガーデンパレス
主催 一般社団法人 中小企業診断協会
後援 中小企業庁/関東経済産業局/(独)中小企業基盤整備機構/日刊工業新聞社/日本商工会議所/
全国商工会連合会/全国中小企業団体中央会/日本経営診断学会

 

発表論文

再生型スモールM&Aと中小企業診断士の新たな活躍の場
~ネイルサロン買収による実践と考察

M&Aはクロージング後が大切 ~PMIにどう取り組む?

コロナ禍により経営環境は激変したものの、株式会社レコフデータによると2020年の国内企業同士のM&Aは前年比▲1.9%に止まっており、また海外企業とのM&Aを含めた総件数は過去3番目に多い3,730件となっているなど、引き続き高水準を維持しています。

一方で、「中小M&A推進計画」(2021年4月中小企業庁公表)によると、事業の譲受側である中小企業において、M&A前後の取組みの重要性に関する認識が不足しており、M&A実施前における経営状況や経営課題等の現状把握(見える化)、経営改善等(磨き上げ)、M&A実施後の経営統合のためのリソースが確保されていることは少ないといわれています。

このままでは、せっかく事業承継が行われてもその後の事業運営が思うように進まないケースが増加し、新たな問題となりかねません。

今回は、M&A後の経営統合を円滑に進める「PMI」について取り上げたいと思います。

 

 

1.PMIとは ~M&Aの増加に伴い顕在化するM&A後の課題

PMIとはPost-Merger-Integrationの略で、M&A実施後の経営統合のことです。

中小M&Aにおいては、バリュエーションやマッチングからクロージングまでのプロセスが注目されることが多いですが、中小企業にとってM&Aはあくまでも経営戦略を実現するための手段の一つに過ぎません。

最も重要なことはM&Aを事業の成長につなげることであり、M&A実施前からM&A実施後の円滑な経営統合を視野に入れた対策が必要なのです。

M&Aの経験が比較的豊富な上場企業においても、「M&Aプロセスにおいてやり直したい取組」(KPMG SURVEY2019)によると、「シナジー分析(18%)」「PMIの事前検討(16%)」などが上位の課題として指摘されています。

一律に論じることはできませんが、ある程度の組織規模がある中小企業のM&Aにおいても同様の課題が顕在化してくると考え、手を打っておく必要があるでしょう。

 

2.PMIのプロセス

ところでPMIはどのようなプロセスで実行されるのでしょうか?

経営統合を行う企業の組合せにもよりますが、経営者のもとPMIのプロジェクトチームを設置し、①統合方針の決定、②短期的なランディングプランや③中長期的な事業計画の策定などを実施しした上で、④進捗管理を行い、統合の円滑化とシナジー最大化を進めていくのです。

これらは、一般的にセクションに分けて実施されます。

 

(1)経営面:企業理念や経営理念、経営戦略などのすり合わせ

(2)制度面:①就業規則や評価制度、退職制度などの人事制度、および財務会計・管理会計などの会計制度の統合

(3)業務面:販売、購買等の業務システムにおけるオペレーションや経理・経営管理等のITシステムの統合

(4)事業面:業務を維持する計画、仕入先や資材などの分析、事業展開の立案、担当業務の割当て、新部門の創設など

(5)意識面:企業文化、組織風土の統合

 

中小企業では社内リソースが少ないため、これらのようなPMIを独力で実施するのは困難な面があります。実際、中小企業白書(2018年)によるとM&Aを実施した中小企業のうち総合満足度では24%が「期待を下回っている」と回答しています。

満足度が低かった理由として以下のような項目がありますが、買収価格の高さのようなM&A実行時の問題以上に、M&A後のプロセスに関わる項目が多くあげられていることは着目すべき点といえるでしょう。

 

【M&Aの満足度が期待を下回った理由】(複数回答可のため合計は100%にならない)

①相乗効果が出なかった         44.7%

②相手先の経営・組織体制が脆弱だった  36.8%

③相手先の従業員に不満があった     28.9%

④買収価格が高すぎた          23.7%

⑤企業文化・組織風土の融合が難しかった 22.8%

⑥経営・事業戦略の統合が難しかった   7.9%

⑦その他                5.3%

 

 

3.中小M&Aにおいて重視されること

中小企業のM&Aにおいて譲受側と譲渡側では重視する事柄が異なるようです。東京商⼯リサーチ「中⼩企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート(2020年12月)」によると譲受側では期待するシナジー効果の発現、円滑に組織融合できるかどうかを、譲渡側ではM&A後の従業員の雇⽤、事業の将来性、取引先との関係維持を重視するという特徴があります。

これらは、M&A後の経営統合の取組の中で解決していくべき事柄であり、このように中⼩M&AにおいてPMIは非常に重要な取組みであることがわかります。

 

「中⼩企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート(2020年12月)」(東京商工リサーチ)上位5位抜粋

○譲受側等の⼼配事項(M&A実施経験有の企業の回答)

①相⼿先従業員等の理解が得られるか不安がある 32.4%

②期待する効果が得られるかよく分からない   30.8%

③仲介等の⼿数料が⾼い            29.8%

④相⼿先(売り⼿)が⾒付からない       23.8%

⑤相⼿先の企業価値評価の適正性に不安がある  23.1%

○譲渡側の重視事項

①従業員の雇⽤維持              82.7%

②売却価額                  48.9%

③会社や事業のさらなる発展           47.6%

④取引先との関係維持             32.7%

⑤会社の債務の整理              26.7%

 

中小企業のPMI実施ニーズは高いにも関わらず、M&Aの経験を通じたノウハウの蓄積やPMIを進める社内リソースが不足しているため、外部機関を活用したPMI実施に期待が寄せられています。

一方、PMI⽀援サービスを提供するM&A⽀援機関は少ないのが現状です。今後は、PMIのノウハウのある中小企業診断士や経営コンサルティング会社などの活用も選択肢の一つになっていくのではないでしょうか。

 

4.政府のPMI推進施策 ~中⼩PMIガイドライン(仮称)策定に向けて

 

こうした動きの中で、経産省では中⼩M&AにおけるPMIへの段階的な⽀援の充実を図るため2021年度中に、中⼩M&Aにおいて望まれるPMIのあり⽅及びPMIの進め⽅を⽰す「中⼩PMIガイドライン(仮称)」策定に向けた検討が始まっています。

2021年10月5日に、中⼩PMIガイドライン(仮称)策定小委員会の第1回会議が開催されました。ここでは次のようにM&A⽀援機関を活用したPMI推進策が示されています。

 

○中⼩M&AにおけるPMIへの段階的な⽀援の充実

・2021年度中:中⼩M&AにおけるPMIに関する指針を策定

・2025年度迄:M&A⽀援機関は、「中⼩M&AにおけるPMIに関する指針」の内容も参考にしつつ、中⼩M&AにおけるPMI⽀援サービスの提供を検討し、⼀定程度の⽀援が提供されることを⽬指す

・政府は、M&A⽀援機関の取組を後押しするべく、M&A⽀援機関におけるPMI⽀援サービスの提供状況等を踏まえつつ、必要な予算措置等の⽀援策を検討

 

まとめ

コロナ禍でも引き続き国内M&Aは高水準を維持していますが、事業承継のためにM&Aを活用するフェーズから、M&A後の経営統合やシナジーの発揮を企図したフェーズへと質的に変化しつつあると言えるでしょう。

中小企業経営者の方々も、仲介やFAといった事業承継の入口の機能だけでなく「M&A後」の支援機能が期待できるM&A支援機関選びの視点を大切にする必要があるのかもしれません。

 

中小企業診断士 伊藤一彦

ご存じですか?!国がスモールM&Aを補助金で支援してくれます。

事業承継が新しい創業の形として根付くか?!

中小企業白書によると、日本の開業廃業率は、2000年代に入り緩やかな上昇傾向で推移してきましたが、足元では再び低下傾向となっています。直近データ(2019年度)によりますと、開業率が4.2%、廃業率が3.4%となっており諸外国と比べて相当低い値となっています。コロナ禍の先行きがある程度見通せるようになり、国の各種の支援策が止ストップされた段階で、廃業を決断する事業者が増えるのではないかと考えられています。

一方で、国は、これまで、女性や若者、高齢者による起業を様々な制度で支援をしてきましたが、これらの類型以外にも既存事業者の黒字廃業を防ぐための支援をスタートさせました。その代表的な施策が、本記事で紹介する「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」です。本補助金には、【Ⅰ型】創業支援型、【Ⅱ型】経営者交代型、【Ⅲ型】M&A型の3種類があります。類型ごとに補助上限額や内容が異なりますので、ご自身の事業計画がどの申請類型に該当するのか?本制度を利用できるのか?ご確認ください。

 

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)には3つの類型があります。

ツナグ:なんとなくその名前から内容は想像ができるけど・・・。Ⅰ型からⅢ型に向けてより大きな取り組みのイメージだね。ぼくの場合は、経営者交代型が適している気がする。

 

そうですね。3つの類型を比較しつつ事例も紹介していきましょう。

【Ⅰ型】創業支援型

まずは、【Ⅰ型】創業支援型には、以下の2つの要件いずれかを満たす必要があります。

 

  1. 創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。

 

つまり、低迷していた事業を引継ぎ、革新的な投資を行い、事業を活性化させること。(例えば、事業再構築補助金で支援されるような取り組み)具体的には、近年創業した人が、設備とともに顧客や従業員を引き受け、事業改革を行ってスケールさせていくイメージです。ですから、設備や店舗だけを譲り受けるようなものや賃貸用不動産は認められません。

 

【Ⅱ型】経営者交代型

【Ⅱ型】経営者交代型では、以下の3つの要件をすべて満たすことが求められます。

 

  1. 事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。
  3. 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること。

 

つまり、経営者として3年以上経っていること、または引き継ぐ業種での実務経験が6年以上あることや創業・承継に関する指定講習を受講した経営者なども条件があり、創業者支援型よりも専門性が求められています。つまり、【Ⅱ型】経営者交代型は、地域経済への影響がある一定以上の規模の革新的な取り組みが想定されているといえます。革新的な取組みとは、先述した事業再構築補助金の類型にあるような、新しい売り方や製造方法、新規事業や飛び地への参入などをイメージしてください。

 

 

【Ⅲ型】M&A型

【Ⅲ型】M&A型では、以下の3つの要件をすべて満たすことが求められます。

  1. 事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。
  3. 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること。

つまり、Ⅱ型のように経営者が変更とならないM&A(組織再編)がこちらに該当します。それ以外の要件については、Ⅱ型と同様で、引き継いだ事業を成功に導くことができそうな経験や実績を持っていることが条件となっています。

 

ツナグ:なるほど、そういえば補助経費はどれも一緒なのかな?

 

補助金の最大は1,000万円、補助経費は幅広く認められています。

まず、共通点からお話します。

本補助金の補助率は3分の2、補助下限額は100万円、引き継ぐ事業者が廃業する場合の経費の一部に対して200万円以内となっています。廃業に関する経費ついては、各類型で少しずつ違いがありますのでご注意ください。

また、補助経費の内容は、人件費、店舗等借入費、設備費、試供品やサンプル製作のための原材料費、産業財産権等関連経費(特許など)、専門家向けの謝金、販路開拓などの旅費、マーケティング調査費、広報費、説明会などの会場借料費、外注費、委託費など事業革新に必要となりそうな経費が、幅広く認められています。

各類型における違いは、その補助上限額にあります。Ⅰ型とⅡ型については、上限が400万円以内となっていますが、Ⅲ型はその取り組み規模に見合うようにⅠ型やⅡ型の2倍の800万円以内となっています。この記載以外にも細かな規定がたくさんありますので、まずは公募要領を確認いただき、不明点は、専門家に相談してみることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト:https://jsh.go.jp/r2h/business-innovation/

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。

中小企業診断士 山本 哲也

中小 M&A ガイドライン遵守に関する補足説明資料

中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

 

株式会社ステラコンサルティングは、国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受けている支援機関であり、中小企業庁が定めた「中小M&Aガイドライン(第3版)」(令和6年8月)を遵守していることを、ここに宣言いたします。

株式会社ステラコンサルティングは、中小M&Aガイドラインを遵守し、下記の取組・対応を実施しております。

 

○支援の質の確保・向上に向けた取組

 

1    依頼者との契約に基づく義務を履行します。

·          善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA業務を行います。

·          依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図りません。

·          (仲介者の場合)いずれの依頼者に対しても公平・公正であり、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応をしません。

 

2    契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応を行います。

 

3    代表者は、支援の質の確保・向上のため、①知識・能力向上、②適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識しており、当該取組が重要である旨のメッセージを社内外に発信しています。また、発信したメッセージと整合的な取組を実施します。

 

4    知識・能力の向上のため実効性のある取組を実施しています。

 

5    支援業務を行う役員や従業員における適正な業務を確保するための取組を実施しています。

 

6    業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保するための取組を実施しています。

 

 

○M&Aプロセスにおける具体的な行動指針

 

【意思決定】

7    専門的な知見に基づき、依頼者に対して実践的な提案を行い、依頼者のM&Aの意思決定を支援します。その際、以下の点に留意します。

·          想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明します。

·          仲介契約・FA契約締結前における相談者の企業情報の取扱いについても、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚し、適切に取扱います。

 

8    仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業については、以下の規律を遵守した上で、適切に実施します。

※なお、広告・営業の実施にあたっては、職業倫理の遵守が求められるほか、仮に、過去の対応状況や頻度等に照らして、広告・営業先の中小企業の事業活動や経営者の生活に多大な支障を与えるような過剰なものである場合には、民法上の不法行為責任を負う可能性もあることに留意する。

·          広告・営業先からM&Aの実施意向がない旨、仲介契約・FA契約を締結しない旨又は引き続き広告・営業を受けることを希望しない旨の意思(以下「停止意思」という。)を表示された場合には、停止意思を拒まず、ただちに広告・営業を停止します。

·          広告・営業先から停止意思の表示があった場合については、その内容を組織的に記録し、共有します。

·          停止意思を表示した者に対し、仮に広告・営業を再開する場合には、慎重に検討の上、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。

·          広告・営業先の中小企業の意思決定を適切に支援する観点から、下記のような広告・営業は行いません。

①   当社の名称、勧誘を行う者の氏名、仲介契約・FA 契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う広告・営業

②   仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定の上で必要な時間を与えず、即時の判断を迫る広告・営業

③   M&Aの成立の可能性や条件等の仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽若しくは事実に相違する又は誤認を招くような広告・営業(例えば以下)

ž   譲り受け(譲り渡し)の意向が無い企業若しくはその意向を確認していない企業又は実際には存在しない企業に関して、譲り受け(譲り渡し)の意向があると偽り又はそのように誤認させるもの

ž   譲渡額の水準について過大なバリュエーションを提示するもの

ž   譲り渡し側(譲り受け側)の財務状況、今後の見通し等の情報について、事実に相違する、又は実際のものよりも優良であり、若しくは有利であると誤認させるもの

ž   その他M&A の成立の可能性やその条件について確定的な判断を下すもの

 

【仲介契約・FA契約の締結】

9    業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結します。

 

10   契約締結前に、依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項(以下(1)~(17))を記載した書面を交付する等して、明確な説明を行い、依頼者の納得を得ます。

(1)  譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)

(2)  提供する業務の範囲・内容(バリュエーション、マッチング、交渉等のプロセスごとに提供する業務の範囲・内容)

(3)  担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績

(4)  手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)

(5)  手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)

(6)  (仲介者の場合)相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期等)

(7)  秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)

(8)  直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等)

(9)  専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)

(10) テール条項(テール期間、対象となるM&A等)

(11) 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)

(12) 契約の解除に関する事項及び依頼者が、仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項

(13) 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)

(14) 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等)

(15) (仲介者の場合)両当事者間において利益の対立が想定される事項

(16) (譲り渡し側への説明の場合)譲り受け側に対して実施する調査の概要(調査の実施主体、財務状況に関する調査、コンプライアンスに関する調査、事業実態に関する調査等)

(17) (譲り渡し側への説明の場合)業界内での情報共有の仕組みへの参加有無(参加していない場合にはその旨)

 

11   手数料・提供する業務の内容や相手方の手数料に関する事項については、以下に沿って説明します。

·          手数料に関する事項を明確に説明するとともに、当該手数料を対価として自らが提供する業務の内容を説明します。具体的には成功報酬において採用される報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等の手数料の算定基準や提供する具体的な業務の内容について書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。

·          提供する業務については、「M&Aのプロセス」ごとにどういった業務を提供するのか整理(各プロセスにおいて業務を提供しない場合には、その旨も含む。)を実施の上、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。具体的にはガイドライン第2章Ⅱ4①の表の「M&Aプロセス」ごとに、提供する主な業務を整理の上、適切な説明を行います(同表の「提供する主な業務」の列には例を記載。)。

·          担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績について説明します。

·          契約締結前の説明において仮に依頼者から納得が得られず、仲介者・FAに対して業務や手数料に関する交渉が申し入れられた場合には、誠実に対応を検討します。

·          (仲介者の場合)仲介契約締結前に、依頼者から受領する手数料に関する事項に加えて、相手方の手数料に関する事項(報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等についても、相手方を含めた手数料の総額がM&Aの成立やその条件(譲渡額等)に影響を与える可能性がある旨も含め、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、依頼者に対し説明します。

·          仲介契約締結前に説明した相手方の手数料を増額する場合には、増額の内容を依頼者に対し開示します。

·          依頼者の手数料を減額する場合には、当初説明した相手方の手数料を増額していない旨を依頼者に対して改めて説明します。

·          (FAの場合)相手方を支援するFAから支払を受ける場合には、支払額や支払の名目、支払時期について依頼者に対し説明します。

 

12   上記10,11の説明は、契約を締結する権限を有する者(個人の場合には、当該個人。法人の場合には、代表者又は契約締結について委任を受けた者。)に対し行います。

 

13   上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。

 

 

【バリュエーション(企業価値評価・事業評価)】

14   バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ます。

 

【譲り受け側の選定(マッチング)】

15   ネームクリア(譲り渡し側の名称を含む企業概要書等の詳細資料の開示)は、ノンネーム・シート(ティーザー)等の提示により、興味を示した候補先に対して、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施します。

 

16   譲り渡し側からの同意については、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得します。

 

17   秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意します。

 

【交渉】

18   慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートします。

 

【デュー・ディリジェンス(DD)】

19   デュー・ディリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートします。

 

【最終契約の交渉・締結】

20   最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援します。

 

21   最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行います。具体的には、特に下記の対応を実施します。

·          譲り渡し側の経営者保証の扱いに関しては、譲り渡し側経営者と方針を相談の上、対応を検討します。

①   譲り渡し側経営者の経営者保証に係る意向を丁寧に聴取するとともに、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を説明します。

※ただし、金融機関等に対する事前相談については、M&A成立前に当該金融機関等に情報提供を行うことによる留意点(M&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等)についても伝えた上で、譲り渡し側経営者の適切な判断を支援します。

②   譲り渡し側が経営者保証の扱いについて、士業等専門家や金融機関等に対して相談を希望する場合には、その実施を拒まず、仲介契約・FA契約等における秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外します。さらに、譲り受け側との契約において秘密保持条項がある場合には、譲り受け側に対して、秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外するよう働きかけます。

③   最終契約における経営者保証の扱いに関して、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、最終契約において譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を明確に位置付けることを検討します。具体的には、譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置付けた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項(例えば、契約解除条項や補償条項等)を盛り込む方向で調整します。

※具体的な条件として、(a)譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に保証の提供先の金融機関等から保証の解除又は移行が実行できるか組織的な意向表明を取得すること、(b)当該意向表明の結果、保証の解除又は移行の手続を進めることができる場合には、譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に当該手続の上で必要となる書面を保証の提供先の金融機関等に提出するとともに、代表者の変更登記に係る必要書類の作成すること、を設定することが考えられます。

※その上で、万全を期す場合には、クロージング日に(必要に応じて金融機関等の同席の下で)代表者の変更登記の手続、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられます。

※保証の解除又は移行を確実に実施するための手段としては、クロージング時に、譲り渡し側の経営者保証の対象となっている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行うといった方法も考えられます。

·          依頼者に対し、デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスである旨を説明します。

·          依頼者に対し、表明保証の内容はデュー・ディリジェンス(DD)の結果を踏まえて適切に検討されるべきであり、期間や責任上限が設定されていない場合や適用場面が一義的に明確でない規定が存在する場合、譲り渡し側が過大な表明保証責任を負担することとなり、当事者間で争いが生じるリスクがある旨を説明します。

·          クロージング後の支払・手続、最終契約後の支払の調整・修正、最終契約後の譲り渡し側の資産・貸付金の整理、最終契約からクロージングまでの期間に関して、両当事者間での調整が十分になされていない段階において、本リスクを生じさせる条項やスキームを安易に提案せず、慎重に検討の上、仮に提案する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により、提案の際には、リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明します。

※本リスクを認識した段階で当事者に対し、当該リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明することが望ましい。

 

22   最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促します。

※最終契約の内容等に、最終契約締結後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスク事項が含まれることになった場合、改めて最終契約締結前に当該リスク事項の詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について、可能な限り具体的に説明することが望ましい。

 

【クロージング】

23   クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上で、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認します。

 

 

○不適切な譲り受け側の排除に向けた取組

 

24   不適切な譲り受け側を最大限排除する観点から、以下の取組を実施します。

·          譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施します。

·          その上で、依頼者となる譲り渡し側に対しては、仲介契約・FA契約締結前(M&A プラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に、譲り受け側の調査の概要について、説明します。具体的には、ガイドライン第2章Ⅱ6(1)の表の「調査項目」ごとに、実施する調査の内容を検討し、依頼者への説明を行います。

①   詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去にM&Aに関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施します。特に財務状況については、想定される程度の譲渡対価を調達可能であるかといった観点やM&A の実施後に対象事業を継続して運営できる状況にあるかといった観点から適切な確認を行います。

②   調査のタイミングとしては、譲り受け側との仲介契約・FA 契約締結前(M&Aプラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に加え、M&Aのプロセスが進捗する過程でも適切に必要な調査を実施し、最終契約の締結までに譲り受け側について十分に確認します。

③   調査の方法としては、譲り受け側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者、役員及び株主等の関係者も含めたコンプライアンスチェックが想定されますが、特に譲り渡し側が債務超過の場合等、M&A の成立において譲り受け側の信用が特に重要となるケースにおいては特に慎重に調査を実施し、この場合においては譲り受け側の財務状況について、少なくとも決算公告や税務申告書の確認により適切な確認を実施します。

·          過去に支援を行った譲り受け側についての情報提供や業界内での情報共有の仕組み等により最終契約の不履行等の不適切な譲り受け側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲り受け側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築します。

·          当該譲り受け側への新たな支援の実施については、取得した情報の内容を精査及び同様の行為による譲り渡し側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。

·          (仲介者の場合)譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、譲り渡し側に対して開示します。

 

 

○仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点

 

専任条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

 

25   専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定します。具体的には、依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容します。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮します。

 

26   専任条項を設ける場合には、契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めます。

 

27   依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設けます。

 

直接交渉の制限に関する条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

 

28   直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定します(依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。)。

 

29   直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先の M&A に関する目的で行われるものに限定します。

 

30   直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定します。

 

テール条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

 

31   テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とします。

 

32   テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側であって、譲り渡し側に対して紹介された者のみに限定する。具体的には、ロングリスト/ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)の提示のみにとどまる場合はテール条項の対象としません。少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること。)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定します。

※なお、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、ネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではありません。

 

33   仲介契約・FA契約において専任条項が設けられていない場合に、依頼者が複数のM&A専門業者から支援を受け、結果として複数のM&A 専門業者から同一の候補先の紹介を受けた場合、依頼者から成約に向けて支援を受けるM&A専門業者として選択されなかった場合、テール条項を根拠とした手数料を請求しません。

 

 

○仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(※仲介業務を行わない場合は不要)

 

仲介業務を行う場合、特に以下の点を遵守して、行動します。

 

34   仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝えます。

 

35   仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。また、別途、両当事者間における利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。

 

36   両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行いません。

 

37   特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行わず、仲介契約書において、少なくとも、以下の行為を行わない旨を仲介者の義務として定めます。

·          譲り受け側から追加で手数料を取得し、当該譲り受け側に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)

·          リピーターとなる依頼者を優遇し、当該依頼者に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)

·          譲り渡し側(譲り受け側)の希望した譲渡額よりも高い(低い)譲渡額でM&A が成立した場合、譲り渡し側(譲り受け側)に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡額と成立した譲渡額の差分の一定割合を報酬として要求する行為

·          一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に対して伝達せず、又は一方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方当事者に対して伝達する行為

·          一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を当該当事者に対して伝達せず、秘匿する行為

 

38   確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

 

39   参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示します。

·          あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ

·          当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容

·          必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること

 

40   交渉においては、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図ります。

 

41   デュー・ディリジェンスを自ら実施せず、デュー・ディリジェンス報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

 

 

○その他

 

42   上記の他、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った対応をするよう努めます。

 

以上

M&Aの目的を達成するための事業DD①

財務DDだけがDDではない!

いうまでもなく、M&Aを行ううえでデューデリジェンス(以下「DD」といいます。)は不可欠なものです。

とはいえ、小規模なM&Aの場合、財務DDしか行っていないということも少なくないと思います(なお、M&Aの規模が小さい一方、DDに要する費用が高額であるとして、財務DDすらしない場合があると聞いたことがありますが、これは極めて危険な行為というほかありません)。

しかし、財務DDだけがDDではありません。そこで、今回は、財務DD以外のDDのうち、事業DDについて説明します。

 

買い手のM&Aを用いた戦略を進めるうえで重要となる事業DD

事業DDとは、売り手が行う事業の将来性や買い手が行う事業とのシナジー効果等について評価するものです。

そもそも、買い手がM&Aを検討しているのは、自社の事業が有していない新たな分野への進出を図ることや自社の既存事業と売り手の事業との相乗効果を図ることなどの何らかの目的があるためです。この点に関し、事業DDは、買い手がM&Aをすることによって目的を達成することができるかどうかを確認するものであるといえます。また、事業DDを行うことでM&Aを行う目的がより具体的になってくることもあり得ます。

このように、実は、事業DDは買い手のM&Aを用いた経営戦略を進めるうえで極めて重要なものであるといえます。

 

売り手が再生を要する場合にも重要となる事業DD

このほか、売り手が再生を要する場合にも事業DDは欠かせないものといえます。再生を要する売り手の場合、収益状況や財務状態に何らかの問題を抱えています。M&Aののち、買い手が売り手の収益状況や財務状況を改善して再生することができるのかを見極めるためにも、事業DDを行うことが重要であるといえます。

このようなことをいうと、収益性などは財務DDで確認できるので事業DDは不要ではないかと考える方もいるのではないかと思います。しかし、財務DDはあくまで貸借対照表や損益計算書などをもととした『数字の分析』が中心となります。その一方で、事業DDでは経営指標等の『定量的要因』を考慮しつつ、売り手が有する強み・弱みといった内部環境や機会・脅威といった外部環境などの『定性的要因』と併せて総合的に検討して、売り手が抱える問題点は何かを特定し、改善のための方向性などを提案していきます。この点で、事業DDと財務DDとは一部において重複する部分もありますが、その本質は大きく異なるものであるといえます。

 

事業DDでは具体的にはどのような内容を取り扱うのか

事業DDでは、おおむね以下の内容について取り扱います。

① 会社概要

② 外部環境分析

③ 内部環境分析

④ SWOT分析

⑤ 事業に関する評価

これらのうち、会社概要とは、その企業の概要、株主構成、組織概要、事業の構造などの一般的な事項についてのものですので、実質的には外部環境分析及び内部環境分析並びにこれらに基づくSWOT分析と事業に関する評価が中心となります。

 

外部環境分析について

外部環境とは、企業を取り巻く環境のうち、自社ではコントロールすることができないものをいいます。

事業DDにおいて外部環境を分析するのは、現在買い手が行う事業が抱える問題点の原因とともに、今後の事業展開における機会や脅威となる要因を明らかにすることによって、問題が解決する可能性の検討を行い、当該事業の評価を行うためです。

外部環境を分析する際に着目すべき要素を体系化したものとして、PEST分析と5(ファイブ)フォース分析があります。

PEST分析とは、P(Politics(政治))、E(Economy(経済))、S(Society(社会))、T(Technology(技術))の要素に着目して外部環境を分析するもので、主にマクロな視点で外部環境を分析するものです。

5フォース分析とは、競合各社や業界全体の状況などの企業を取り巻く5つの脅威に注目し、事業の利益の上げやすさを分析するものです。その意味でPEST分析と異なり、ミクロな視点で外部環境を分析するものといえます。

5つの脅威とは具体的には以下のものを指します。

① 新規参入の脅威

参入障壁が低い業界・市場の場合は、新規参入により競争が激化し、自社の事業が利益を上げることが困難となる可能性があります。

② 競合の脅威

新規参入のみならず現在既に存在する競合企業との競争が激しい場合も、自社の事業が利益を上げることが困難となる可能性があります。

③ 代替品の脅威

自社の製品に代わる新しい製品が出現する可能性が高い場合は、自社の事業が利益を上げることが困難となる可能性があります。

④ 買い手の交渉力

顧客が競合の製品を購入しやすい場合は買い手の交渉力が強いといえ、利益を上げるための価格で製品を販売しにくくなることから自社の事業が利益を上げることが困難となる可能性があります。

⑤ 売り手の交渉力

自社の事業に必要な原材料などが特殊で、仕入先(売り手)が自社よりも優位な立場にある場合は売り手の交渉力が強いといえ、仕入の価格が高くなりがちになることから、自社の事業が利益を上げることが困難となる可能性があります。

 

次回の予告

次回は、今回の続編として内部環境分析の具体的な内容と外部環境分析・内部環境分析に基づくSWOT分析と事業に関する評価について説明します。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久