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税理士との打ち合わせで出てくる専門用語 パーチェス法とのれん

M&Aの現場では、いろいろな専門家の力を借りる場面が多くなると思いますが、専門家によっては、専門用語を多用するため、慣れない経営者やツナグのような新任担当者にとっては「???」となることが良くあります。「餅は餅屋」という、ことわざ通り「専門分野は、専門家に任せる」という考え方もあるとは思いますが、頻出の専門用語くらいは知っておいても損ではないですし、専門家との意思疎通も一層しっかりと取れるようになるのではないでしょうか?

本日は、税理士との打ち合わせでよく聞く専門用語として”パーチェス法”と”のれん”について、いつもの通り、M&A新任担当者のツナグと一緒に学んでいきたいと思います。

 

パーチェス法って教科書に出てくる偉人の名前?

ツナグ:パーチェス法ってなんだか理科の実験で習ったような名前ですけど、実験とM&Aに何の関係があるんですか?

”パーチェス法”と初めて聞くと、確かに、どこか外国の科学者の名前にも聞こえてきますね。でも理科の実験とはまったく関係がありません。
パーチェス法とは、合併など企業の結合に際して採用する会計処理方法の一つのことで、買収される企業の純資産と買収金額の差額をのれんとして計上する手法のことです。パーチェス法では、統合される会社の資産や債務を公正価値によって評価し、企業合併による継承を事業の一括購入と考える会計処理方法になっています。他には、持分プーリング法という考え方もあるのですが、アメリカの企業結合の会計基準もパーチェス法を採用しているため、日本でも国際会計基準に合わせるような形で原則的にパーチェス法を採用していて、持分プーリング法を制限する傾向にあります。

ツナグ:のれん?そういえば”のれん”っていう言葉もよく聞くと思っていたけど、パーチェス法と関係があるんだね!

 

のれんっておそば屋さんのアレのこと?

M&Aにおいて”のれん”とは、先ほど説明した通り、買収される会社の純資産と買収金額の間に生まれる差額のことです。計算式は「買収金額ー純資産=のれん」となります。この差額は、資産に計上され、ブランド力などの無形資産が持つ価値を表しています。

ツナグ:「のれん」って聞くとお寿司屋さんやおそば屋さんの入り口に下がっているアレしか思いつかないけど、会計用語なんだね・・・。

いえいえ。ツナグさんの意見が正解です。実は、のれんの由来は、お店の軒先に掲げられる暖簾(のれん)に由来していると言われているんですよ。お店や企業において過去から積み上げてきた信頼、ブランド力や収益力の高さなどを含む、超過収益力が、目に見えない無形資産として会計上の専門用語でも使われるようになったんです。最近ではのれんの価値ということに注目が集まるようになってきており、のれんの中身を見えるような形にするため、顧客との関係や商標権、技術などに分類をする無形資産の価値評価なども積極的に行われるようになってきています。
一方で、のれんには”負ののれん”というものも存在します。

 

負ののれんで業績アップ?!

ツナグ:”負ののれん”?つまり、買収した金額よりも純資産の方が大きいってこと?お得な買い物をしたよっていう”しるし”のことじゃないですか!?

いえいえ、そういう意味ではありませんが、日本の会計上は、負ののれんをその期の特別利益に計上することになります。
ツナグ:買収してお金は出て行ったのに利益になるんだね。それって、僕たちM&A担当者が営業でもないのに、業績アップに貢献できるってことじゃないですか?!いいですね!
そうなりますね、つまり、純資産よりも安価な金額でM&Aを繰り返している企業は、業績とは関係なく利益が多く見えることがあるため注意が必要です。企業分析の際に「利益の内容もよく確認してください」とお願いしている理由にはこのようなこともあるからです。

ツナグ:なるほど。まさにマジックだね。

 

のれんの会計処理

先述の取り、正ののれんは資産として計上しますので、減価償却の対象となり、資産の価値を適正に評価できるようになります。繰り返しになりますが、負ののれんは償却できませんので「負ののれん発生益」として連結損益計算書の特別利益に記載します。(いずれも日本の会計基準で会計処理を行うときに限ります)
のれんの償却期間は、20年以内に定額法などの規則的な方法で減価償却することが定められています。なお、20年以内のため、3年、5年などの短期間で減価償却しても問題ありません。しかし、のれんが高額な場合に短期間で減価償却すると、1年あたりの減価償却額が増え、利益が生じにくくなります。のれんの効果とも照らし合わせたうえで、適切な償却期間を決めるようにしましょう。また、のれんの償却方法は、毎年同額ずつ減価償却をさせる定額法が一般的です。例えば500万円ののれんを5年で償却する場合は、1年あたりの減価償却額は100万円になります。

ツナグ:なるほど。車両や生産設備を導入したときと同じ会計処理をするんだね。会社という設備を購入したと考えるとイメージがしやすいです。

 

まとめ

今回は、M&Aの専門家が打ち合わせで使う専門用語であるパーチェス法とのれんについてツナグと一緒に学びました。これによって少しでも専門家との意思疎通が進み、モヤモヤが解消されることを願っています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。
中小企業診断士 山本哲也