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意外とシンプルな会社の値段の決まり方 その2

みなさま、新年あけましておめでとうございます!

昨年もいろいろなM&Aに関するニュースがありましたが、どのニュースに着目しましたか?

すでにご存じかもしれませんが、コロナ禍以降、国もM&Aを活用した事業承継に大きく注力し始めました。具体的には、あらゆる補助金に、M&Aを活用した事業承継支援のコースが設定されていますし、事業承継の準備に対する補助金や廃業に対する補助金まで用意するほどです。

今回は、前回に引き続き、会社の売買金額についてのお話です。

中堅・大手企業は、お互いの合意に加えて説明責任(根拠)を重視する。

前回の冒頭に「売買金額は、お互いが納得していれば、いくらでもOK。なぜなら、価値の捉え方は多様だから」と書きましたが、実は、これは中小零細規模の視点にたった場合の話なのです。

なぜなら、中堅や大手企業では、買収金額に意見をするステークホルダー(利害関係者)がたくさん存在するため、金額に対する根拠がより一層求められるからです。「お互いの意見が一致したから」だけではこの説明責任が果たせないのです。

例えば、売買金額の確定前から考えると、社長や役員・相談役、株主(前社長など)、金融機関など。なかには、取引先、同業他社のように直接の利害関係者でもない人まで口を挟んできて意見表明をする始末です。特に、株主や金融機関などからの意見に対しては、担当者だけではなく、経営幹部が説明する必要も出てきますからなおのことです。

そこで、重要になるのが、売買金額の計算方法などの根拠です。

事業が将来生み出すお金を根拠に会社の価値を決めるDCF法とは

M&Aにおける売買金額の算定に当たって、会社の価値を把握する一つの方法として、DCF法というものがあります。これは、「会社をお金(キャッシュ)を生み出すシステム(機械)である」ととらえ、会社の価値はどれだけお金を生み出すことができるかにあると考えるものです。

営業利益を考える

 会社がどれだけお金を生み出すことができるかを考えるにあたって、まず確認しなければならないことは、会社がどれだけ営業利益を上げることができるのかということです。

営業利益を正確に把握するためには、5~10年程度先までの事業計画書(予測決算書)を入手し、以下の3点に着目して確認します。

①過去の経営成績と財務指標の推移

②売上高計算根拠(数量✕単価)

③コスト構造(変動費と固定費)

では、ひとつずつ見ていきましょう。

①過去の経営成績と財務指標の推移

過去5年~10年程度の決算書を分析し、その傾向とイレギュラーについては、その原因について確認を行い、明らかにします。特に、今期の着地見通しと来年の計画については入念に精査します。なぜなら、この二期の数値が、将来の算出の土台となるからです。多かれ少なかれ、過大になっていることが一般的です。

②売上高計算根拠(数量✕単価)

売上高は、その内容によって変動費にも影響があるため、数値計画においては、最も重要な数値です。売上高の構成要素は、業種によって様々ですが、基本的には、数量と単価に分けられます。それぞれ、さらに細分化してみることで業界外の数値であっても妥当性の判断がしやすくなります。

③コスト構造(変動費と固定費)

コスト構造についても、構成要素を分解することで数値の妥当性が判断しやすくなります。例えば、変動費は、前述の売上高の推移に応じて変化しているか、変化していなければ、その要因はなにか?固定費は、その設備、施設や人員の内訳を確認することで、前述の売上高を支えることができるだけの固定費を見積もっているのか?などを分析することになります。

 

利益以外にもお金に影響する項目とは?

最初に必要なことは予測の決算書を使って「いったい、毎年いくらのフリーキャッシュフロー(お金)を生み出すのか?」を調べることです。フリーキャッシュフローとは、「企業が生み出したお金のうち自由に使えるお金」という意味で、その計算式は、営業利益✕(1-法人税率)+減価償却費等-設備投資±運転資本の増減です。

実は、お金の増減に関する要因は利益だけではありません。計算式の通りそれ以外にも①法人税②減価償却費等③設備投資④運転資本。の4つが関係しています。

では、ひとつずつ見ていきましょう。

①法人税

法人税の内訳は、法人所得税、法人住民税、法人事業税となっています。法人住民税や法人事業税は、自治体によって多少の違いがあるため、本店所在地の税率を調べてみると良いでしょう。

②減価償却費など

減価償却費などの内訳には、減価償却費と各種の引当金となっています。減価償却費とは、固定資産の購入額を耐用年数に合わせて分割し、その期ごとに費用として計上するための勘定科目です。その性質上、費用科目ではあるのですが、お金の支出はありませんので、フリーキャッシュフローを計算する際には営業利益に加算する必要があります。同様のものとして、退職給付引当金や、貸倒引当金などの引当金があります。

③設備投資

その名の通り、機械やシステムを購入したときに支払うお金のことです。投資をすれば、お金は減少しますし、もし、設備を売却すれば増えます。

④運転資本

運転資本の内訳には、売掛金、在庫、買掛金があります。それらの増減は、投資同様にお金の増減に直接影響があります。

お金以外にも、まだ考える必要がある項目とは?

ここまで、お金が生まれる要因である利益と利益以外について詳しく見てきました。ところが、企業価値算出は、これで終わりではありません。

実はこれら以外にも考えておくべきことがあります。

まず、M&Aをするのは将来ではなく現在ですので、将来生み出されるお金を現在の価値に変換することが必要となります。その計算に使用する数値が「割引率」です。

例えば、「5年後にもらえる100万円を今すぐもらうとしたら、いくらに減らされてしまうでしょうか?」というイメージです。詳しいことはボリュームの関係で割愛しますが、先述の通り、借入金金利や配当など、将来の状況を加味して算出します。

また、このように予測決算書で計算した期間(10年以上の将来)を超えた将来の価値や、投資回収を何年で完了させたいのか?などについても検討が必要です。これは、各企業の考え方や事業のビジネスモデルなどを加味して決めるべき内容です。

さらに、買収によって自社の事業から新たに生み出されるお金についても加える必要があるかもしれません。

 

まとめ

今回は、DCF法(ディスカウントキャッシュ・フロー法)の計算手順について概略をお話しました。少々難しい内容になってしまい申し訳ありませんでした。このように計算方法や手順は確立していますが、結局のところ、最後は、それぞれの企業の考え方によって最終的な売買価格には差が生まれる要素があることもお分かりいただけたと思います。

前回のまとめにも記しましたが、自社または、興味を持っている企業の価値を算出してみてください。きっとその過程で、自社の企業価値向上のヒントが得られるはずです。

なお、企業価値算出の過程についてわかりやすくお伝えするため、一部説明を簡略化している部分がありますことをご承知おきください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。

 

中小企業診断士 山本 哲也

広域多摩イノベーションプラットフォーム「イチオシ企業インタビュー」

中小企業診断士の木下です。

昨年度より、東京都中小企業振興公社が運営する広域多摩イノベーションプラットフォームの「イチオシ企業インタビュー」というコーナーで、インタビュー記事を担当させていただいています。

多摩地域にある優れた技術・製品を持った中小企業をご紹介していますので、ぜひご覧ください。

直近で公開されたのが、株式会社ティーエヌケーです。
精密機械の受託加工が主力事業ですが、福祉介護分野、産学連携等に積極的に取り組み、次々に新製品を開発しています。

 

今年度、10社のインタビューを予定していますので、また次の企業も記事が公開されたらご紹介させていただいます。

 

自作で電子印鑑のデータ作成

中小企業診断士の木下です。

請求書・見積書を発行するときには必ず社員を押しますよね。紙で発行する場合はいいのですが、PDFで発行する場合は一度印刷して、押印して、それをまたスキャンしてPDF化していたわけです。なんと面倒くさい!しかも1枚紙が無駄になるし!!

というわけで、いまさらながら電子印鑑のデータを自作してみました。

参考:http://wind-mill.co.jp/iwashiblog/2015/02/digital-stamp/

 

すぐに使える!自作で電子印鑑を作ってみる

1.白い紙に印鑑を押し、写真を撮る

白い紙に、なるべくきれいに、くっきり押してください。その印影をカメラで撮影します。

2.画像編集ツールで画像を開く

オンラインで無料で使えるこちらのツールを使います。https://pixlr.com/editor/

3.背景を削除して、PNGで保存

いらない部分は削除して、印影の部分だけを切り取ります。その後、文字の上にも電子印鑑を押せるように、背景の白地を削除します。きれいに背景が削除できたら、PNG形式で保存。このPNGデータが電子印鑑として使えます。

 

いまさらでしたがお手軽に作れますし、事務作業の手間も省けますね。

1月17日(火)横浜市立大学「キャンパス起業体験実習Ⅱ」講義をさせていただきました

新年あけましておめでとうございます。中小企業診断士の木下です。

あっという間に、1月も月末が近づいてきました。ブログをさぼっていた間のお仕事をご報告します。

大学教員をされている先輩診断士のご紹介で、横浜市立大学の「キャンパス起業体験実習Ⅱ」という講義の1月17日(火)実施分を担当させていただきました。

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私の起業までのストーリーとして、
・なぜ大企業に勤めながら診断士の資格を目指したのか?
・起業するメリット/デメリット
・起業に必要なスキル
などについてお話しました。

大学生からすると、起業は遠い世界の話なのかもしれません。
実際に起業をするかどうかは別にして、就職活動や転職活動のときに選択肢の1つとして「起業」というコマを持っておくのはいいことだと思います。
みんなが大企業に行くから…という理由ではなく、自分のやりたいことをしっかり考えて、納得のいく道に進んでほしいと思います。

本年もお世話になりました

中小企業診断士の木下です。

取引先の皆様、支援機関の皆様、本年も大変お世話になりました。
大学院に進学し、仕事との両立に苦労しながらも忙しく過ごすことができました。

来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。それでは、よいお年をお迎えください。

 

<年始休暇のお知らせ>
2017年1月5日まで休暇をいただきます。

弊社のロゴが決まりました

中小企業診断士の木下です。

クラウドワークスで実施していた弊社のロゴコンペ。(前回の投稿をご覧ください。)
低予算ながら、76人の方から134件のご提案をいただきました。
こんなに集まるなんてすごい!

 

採用したロゴはこちら!

素敵なロゴもたくさんあって、数点で迷ったのですが、下のロゴを採用しました。
たくさんの企業の中で、支援先企業が輝く様子を表しています。シンプルながら、弊社のビジョンを明確に表していて、気に入りました。

 

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ロゴコンペでわかったこと

集まってくるご提案を日々見ていて思ったのは、似たようなデザインの量産が多いなーということ。特に曲線を使ったデザイン。

どのデザインを採用するかは頼む側なので、きちんと見極めなければいけませんね。

J-Net21「駆け出し診断士の奮闘記」 【第3回】中小企業診断士としてのポジショニングと将来像

中小企業診断士の木下です。

私が書かせていただいたJ-Net21「駆け出し診断士の奮闘記」の第3回(全3回)が公開されました。

【第3回】中小企業診断士としてのポジショニングと将来像
http://j-net21.smrj.go.jp/know/s_hiroba/funtoki_12-3.html

 

私もまだまだ駆け出しですが、これから独立する方へのメッセージも書かせていただきました。
ぜひ参考にしていただければと思います。

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