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M&A初めの第一歩!まずは専門家に相談してみよう!

みなさま新年あけましておめでとうございます。といっても、早いもので2月ですね。また、おめでたい気分に水を差すように世界中で新しい変異株が急激に広がっています。幸い重症化率は低いようですが・・・。しっかり栄養をとって、手洗い・うがいには特に気を配りましょう。

堺なかもず経営支援センター山本哲也です。大阪府堺市であなたのちょっとした変化を応援しています。

 

M&Aについていろいろなセミナーに顔を出したり書籍を読んだりしてインプットをしても「M&Aは、ケースバイケース」という結論が多く、自分たちのアクションにつながりづらいというお悩みをよく聞きます。

いつものように、M&Aを活用してさらなる目指す若手経営者ツナグの独り言からお聞きください。

 

僕は、ツナグ。友人と始めた会社も少しずつ軌道に乗ってきたので、これからさらに大きく成長させて行く上で、いろいろな方法を検討し始めた。

先輩たちの事業を研究しているうちに、会社を丸ごと買い取って自分たちにない強みを手に入れたり、廃業する企業から顧客を引き受けたりするM&Aがどんどん増えているようだ。ネットでも調べてみたし、何冊も専門の書籍も読んでみた。でも、どれも一般論で、自分たちが具体的に何からやればいいのか教えてくれる本には出会えなかった。

「僕たちが何からやればいいのか?!今のうちからちょっとしたことでも相談に乗ってくれる先生がいたらなぁ」

 

身近な専門家

経営について相談できる身近な専門家と言えば、税理士を挙げる人が多いのではないでしょうか?それもそのはず、税理士は、全国におよそ8万人います。これは、全国の小学校校区内に4名以上の税理士がいる計算になっています。人口密度の高い都会では、この数値よりも多いと考えられますので、身近な存在と言えそうです。

まずは情報収集程度であれば、自社のことをよく知ってくれている身近な専門家に相談するところから始めるのがお勧めです。

しかし、具体的な検討段階に進むのであれば、M&Aに関する実績が何件くらいあるのか、専門的な支援が期待できるスキルを持っているのか、なども確認した上で相談するようにしてください

経営の専門家たちにも、専門分野や得意分野があるためです。

また、M&Aは会社や事業の売買のため、その事業内容や規模によっては税理士だけなく多様な専門家の支援が必要となります。専門家のネットワークを持っているかどうかも確認しておきたいところです。

税理士:税金に関する相談

弁護士:株式譲渡契約や労働契約、買収企業と取引先との契約など

社会保険労務士:社会保険や労働者の移籍に関する相談

弁理士:買収先が所有する特許の移転などに関する相談

中小企業診断士:M&A戦略の立案、買収先リストアップや経営状況の確認、経営統合後の戦略策定、各専門家のコーディネートなど

 

無料で相談できる公的機関

身近にM&Aに関して相談でいる専門家が見つからない場合は、公的機関も積極的に活用してみましょう。経営者の高齢化が進むわが国では、事業承継は大きな社会課題として国も注力している分野のため、全国に専門の相談窓口が用意されています。また、専門家の紹介を受けることも可能です。

 

・事業承継・引継ぎ支援センター(https://shoukei.sMrj.go.jp/#support_detAil)
各都道府県に1か所以上設置されています。一般的なM&Aの相談だけでなく、親族や従業員への承継支援、後継者探しなどまで幅広い相談に対応してくれます。また、承継の際に問題となることの多い経営者保証解除に向けた支援もしてくれます。まずは、こちらに出向くのが得策です。

 

・各地域の商工会及び商工会議所

        さらに身近な相談窓口としては、自社の活動エリアにある商工会や商工会議所ではないでしょうか?商工会・商工会議所は、地元企業の集まりですので、幅広い相談に対応が可能ですし、各士業専門家とのつながりも深く、自社の課題や規模などによって適切な専門家とつないでもらうことが期待できます。また、各自治体や金融機関との連携も密に取っていますので、幅広い支援を受けることが可能です。もし、あなたが会員でなくても、まずは、相談だけでもしてみることをお勧めします。

 

とめ

今回は、M&Aに関心を持ち始めた初心者の方向けに、気がるに相談できる窓口についてご紹介しました。まずは、公的機関で相談することで、あなたにあった専門家と出会える可能性が高まります。また、誰かに相談することであなたの頭の中にあるM&A戦略も整理が進み、より具体化することも期待できます。ために支援者

以前にご紹介しましたが、M&Aを成功させている経営者の多くが「案件が発生する前から計画的に準備を行うこと」を実践しています。この記事に出会ったことを良い機会として、身近な専門家や公的機関の無料相談を活用してみましょう。

 

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中小企業診断士 山本 哲也

ご存じですか?!国がスモールM&Aを補助金で支援してくれます。その3

事業承継・引継ぎ補助金の交付決定が発表されました

令和3年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の二次公募の審査が終わり、交付決定事業者の発表が、ホームページ上で行われました。

「経営革新」については申請総数136件から75件、「専門家活用」については申請総数270件から236件という結果でした。ちなみに令和2年度は、「経営革新」が、申請総数375件から187件、「専門家活用」は、申請総数420件から330件でしたから、およそ4割減少しました。経産省には、この結果を受けて、今後さらに使いやすい制度に変化させることが期待されています。

 

活用事例

この補助金の最大の特長は、M&Aが実現に至らず、準備時点で終わっても支援を受けた専門家に対する経費が補助の対象になっている点にあります。つまり、今後の事業運営に悩む経営者に事業承継のきっかけを与えることを狙った制度でもあります。具体的に彼らは、どのように本制度を活用したのでしょうか?買い手と売り手に分けて見てみましょう。

 

買い手支援型

  1. 経営資源の引継ぎを実現させるための支援

これは、戦略的にM&Aを行っている買い手企業が補助金の後押しを受けて、事業承継を実現した事例です。異業種との統合においても専門家の支援があることで、スムーズに行うことができている事例です。

 

事例1

学習塾を主な支援先としているIT企業(経営者20代)が、顧客と同業の学習塾を統合。これまでのサービス提供で培ってきたノウハウを活かしたシナジーを発揮することに加え、顧客視点も手に入れる計画。M&Aサイトの利用料とDDからクロージングにいたるまでの専門家経費について補助を受けて実現しました。

 

事例2

後継者不在に悩む地元企業(異業種)の事業承継を経験したことをきっかけに、地元への貢献と自社の商材の幅を広げる目的で戦略的にM&Aに取り組んできました。案件発掘からクロージングまでの一切を民間FAへ委託する経費について補助を受けて取り組みました。

 

  1. 経営資源の引継ぎを促すための支援

これは、戦略的にM&Aを行っている買い手企業が同業他社の経営統合に活用した事例です。経営統合にあたって発生する各種の問題や法的な課題に対して専門家の支援を受けることでスムーズに統合を成功させた事例です。

 

事例1

運輸業を祖業に倉庫業やコールセンター業務など関連市場へ多角を進めていましたが、今回は、案件が持ち込まれたことをきっかけに同業他社を統合しました。人材確保や得意先の拡大を目的として取り組み、着手からクロージングにかけて、人材確保をスムーズに進めるため、社会保険労務士事務所の支援を受け、その費用に補助金をあてました。

 

売り手支援型

  1. 経営資源の引継ぎを実現させるための支援

これは、後継者不在などを理由に事業承継を決断した売り手企業に対して、専門家がクロージングまで伴走して、事業承継の実現を支援した事例です。

 

事例1

業歴が長く、安定した取引先を持つ製造業であったが、後継者が不在であったため、廃業を検討していた。しかし、従業員150名超の雇用継続と取引先へ迷惑をかけたくないと考えていたところ取引金融機関からの推薦で同業者へ承継することできた。今回は、事前相談からクロージングまで金融機関の支援を受けて実現できました。

 

事例2

50年以上の業歴のある映像制作事業であったが、社長の急逝により家族がいったん事業承継をしたが、その後の後継者が不在でした。従業員の雇用継続と取引先を引継ぎできる相手先を専門事業者の支援を受けて探索。その結果、映像の活用に注力しているEC小売り企業とのマッチングに成功しました。民間のFA事業者に事前相談からクロージングまで全面的に支援を受けました。

 

  1. 経営資源の引継ぎを促すための支援

これは売り手企業側が、買い手の情報提供だけではなく自社の概要書の作成など、準備段階から専門家の支援を受けた事例です。このように、事業承継が完了しなくても利用できることがこの制度の特長でもあります。

 

事例1

清酒の醸造販売事業者。コロナ前までは、高齢の経営者でしたが、新しいことにも取り組み、業容を拡大していました。しかし、今回のコロナの影響が大きく、今後の事業継続に対する不安が膨らみました。そこで、民間のM&A仲介会社と契約し、ノンネームシートや企業概要書の作成から支援を受けて同業他社を中心に広く引受先を探索中です。

 

事例2

新規参入が少なく安定した皮革卸業であったが、コロナの影響で需要が激減し、資金繰りにも困る状態となってしまった。高齢の経営者は廃業も検討したが、雇用の継続とノウハウの引継ぎを目的に事業譲渡先を探索中。本補助金でM&A仲介事業者の支援を受けて企業概要書の作成や引受先を広く探索しています。

 

まとめ

今回は、補助金事務局のサイトで公開されている活用事例のいくつかについて概要を紹介してみました。どの事例も専門家をうまく活用しながらM&Aを成功させています。そのきっかけは様々ですが、共通点は、「案件が発生する前から計画的に準備を行うこと」です。

本補助制度は、来年度も同じような時期に公募があることが見通されていますので、関心をお持ちでしたら、専門家や金融機関の無料相談を活用してみましょう。そして、事業の棚卸から今後の見通しまで大雑把にでも整理してみることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト:https://jsh.go.jp/r3/

 

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中小企業診断士 山本 哲也

ご存じですか?!国がスモールM&Aを補助金で支援してくれます。

事業承継が新しい創業の形として根付くか?!

中小企業白書によると、日本の開業廃業率は、2000年代に入り緩やかな上昇傾向で推移してきましたが、足元では再び低下傾向となっています。直近データ(2019年度)によりますと、開業率が4.2%、廃業率が3.4%となっており諸外国と比べて相当低い値となっています。コロナ禍の先行きがある程度見通せるようになり、国の各種の支援策が止ストップされた段階で、廃業を決断する事業者が増えるのではないかと考えられています。

一方で、国は、これまで、女性や若者、高齢者による起業を様々な制度で支援をしてきましたが、これらの類型以外にも既存事業者の黒字廃業を防ぐための支援をスタートさせました。その代表的な施策が、本記事で紹介する「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」です。本補助金には、【Ⅰ型】創業支援型、【Ⅱ型】経営者交代型、【Ⅲ型】M&A型の3種類があります。類型ごとに補助上限額や内容が異なりますので、ご自身の事業計画がどの申請類型に該当するのか?本制度を利用できるのか?ご確認ください。

 

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)には3つの類型があります。

ツナグ:なんとなくその名前から内容は想像ができるけど・・・。Ⅰ型からⅢ型に向けてより大きな取り組みのイメージだね。ぼくの場合は、経営者交代型が適している気がする。

 

そうですね。3つの類型を比較しつつ事例も紹介していきましょう。

【Ⅰ型】創業支援型

まずは、【Ⅰ型】創業支援型には、以下の2つの要件いずれかを満たす必要があります。

 

  1. 創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。

 

つまり、低迷していた事業を引継ぎ、革新的な投資を行い、事業を活性化させること。(例えば、事業再構築補助金で支援されるような取り組み)具体的には、近年創業した人が、設備とともに顧客や従業員を引き受け、事業改革を行ってスケールさせていくイメージです。ですから、設備や店舗だけを譲り受けるようなものや賃貸用不動産は認められません。

 

【Ⅱ型】経営者交代型

【Ⅱ型】経営者交代型では、以下の3つの要件をすべて満たすことが求められます。

 

  1. 事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。
  3. 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること。

 

つまり、経営者として3年以上経っていること、または引き継ぐ業種での実務経験が6年以上あることや創業・承継に関する指定講習を受講した経営者なども条件があり、創業者支援型よりも専門性が求められています。つまり、【Ⅱ型】経営者交代型は、地域経済への影響がある一定以上の規模の革新的な取り組みが想定されているといえます。革新的な取組みとは、先述した事業再構築補助金の類型にあるような、新しい売り方や製造方法、新規事業や飛び地への参入などをイメージしてください。

 

 

【Ⅲ型】M&A型

【Ⅲ型】M&A型では、以下の3つの要件をすべて満たすことが求められます。

  1. 事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組む者であること。
  2. 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること。
  3. 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること。

つまり、Ⅱ型のように経営者が変更とならないM&A(組織再編)がこちらに該当します。それ以外の要件については、Ⅱ型と同様で、引き継いだ事業を成功に導くことができそうな経験や実績を持っていることが条件となっています。

 

ツナグ:なるほど、そういえば補助経費はどれも一緒なのかな?

 

補助金の最大は1,000万円、補助経費は幅広く認められています。

まず、共通点からお話します。

本補助金の補助率は3分の2、補助下限額は100万円、引き継ぐ事業者が廃業する場合の経費の一部に対して200万円以内となっています。廃業に関する経費ついては、各類型で少しずつ違いがありますのでご注意ください。

また、補助経費の内容は、人件費、店舗等借入費、設備費、試供品やサンプル製作のための原材料費、産業財産権等関連経費(特許など)、専門家向けの謝金、販路開拓などの旅費、マーケティング調査費、広報費、説明会などの会場借料費、外注費、委託費など事業革新に必要となりそうな経費が、幅広く認められています。

各類型における違いは、その補助上限額にあります。Ⅰ型とⅡ型については、上限が400万円以内となっていますが、Ⅲ型はその取り組み規模に見合うようにⅠ型やⅡ型の2倍の800万円以内となっています。この記載以外にも細かな規定がたくさんありますので、まずは公募要領を確認いただき、不明点は、専門家に相談してみることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト:https://jsh.go.jp/r2h/business-innovation/

 

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中小企業診断士 山本 哲也

ご存じですか?!国がスモールM&Aを検討段階から補助金で支援してくれます。その1

諸外国と比べて遅れる企業の新陳代謝

中小企業白書によりますと、日本の開業廃業率は、2000年代に入り緩やかな上昇傾向で推移してきましたが、足元では再び低下傾向となっています。直近データ(2019年度)によりますと、開業率が4.2%、廃業率が3.4%となっており諸外国と比べて相当低い値となっています。二つの数値ともにコロナ禍の先行きがある程度見通せ、対策予算が止まった段階で廃業率が上昇すると考えられています。

 

廃業費用への支援もあり、売り手と買い手のwin-winを実現

国は、我が国の大切な経営資源が消滅してしまわないよう全力で支援する方針です。その代表的な施策が、本記事で紹介する「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」です。本補助金には、【Ⅰ型】買い手支援型、【Ⅱ型】売り手交代型の2種類があり、これまでの常識では、考えられなかった経費まで補助の対象として認められるようになっています。また、買い手側だけではなく、売り手側の廃業費用といったそもそも投資ではないものにまで補助事業として認められているところに、国の本気度が感じられます。

 

ツナグ:買い手と売り手のどちら側になっても支援が受けられるんだね。といっても誰でも受

けられるわけじゃないみたいだ。僕のアイデアは対象になるのかな?

 

そうですね。スモールM&Aならなんでもよいというわけではありません。

【Ⅰ型】買い手支援型の条件としては・・・

「事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。」と概要欄に書かれています。つまり、単なる不動産や財産の売買ではなく、事業承継によって経営資源を譲り受けることで既存事業とのシナジーがあり、相当程度の成長が見込め、地域雇用や地域経済の発展に寄与することが求められています。

【Ⅱ型】売り手支援型の条件としては・・・

「事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業者等であり、以下の要件をみたすこと。地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。」と概要欄に書かれています。つまり、開店休業状態の事業の譲り渡しは対象外となっていると理解できそうです。国として次世代に引き継ぐべき経営資源に限定した支援策ということでしょう。

 

M&Aマッチングシステムの利用料から補助してもらえる!

ツナグ:なるほど、このあたりは、計画書作成の時のポイントになりそうだな。ところで、肝心の補助してもらえる経費はどうなってるんだろう?

 

補助対象経費には、買い手・売り手の共通経費としては、専門家への謝金や旅費、外注費、委託費などの外部支援に加えて、バトンズなどの事業承継支援システムの利用料まで含まれています。つまり、情報収集から相手先との交渉やDDまで含めて支援を受けられる可能性があるということです。

また、売り手側には、これらに加え、廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費などもカバーされています。これまでなら、手元のキャッシュがないために廃業や譲渡ができなかった事業者に対しても実態に沿った手厚い支援が用意されていると言えるでしょう。

いずれも、補助金額は、50万円~400万円となっており、補助対象経費の3分の2となっています。加えて、売り手側には、追加で200万円の上乗せが認められています。これが、在庫処分や物件解約に伴う原状回復費用など廃業費用となります。ただし、この廃業費用への上乗せ補助は、補助事業期間内に事業承継が終わらなかった場合は、補助対象外となりますので、注意が必要です。

 

専門家ってどこにいる!?

ツナグ:専門家への相談費用も補助されるんだ?!どころで専門家って誰?M&Aアドバイザーさん?ぼくは一体どこへ相談に行けばいいんだろ?

 

M&Aを専門に活動されている専門家は、たくさんいますので、ネット検索で見つけることもできますし、商工会議所やよろず支援拠点などに相談することもできます。ただし、探し始めるとたくさんの専門家がいたり、専門家とのトラブルの情報に触れたりして不安になることもあると思います。そんなツナグさんのような方向けの施策として、国は、今秋にM&A専門家の登録制度と支援に関する相談窓口を新設することにしています。ここで紹介している補助金も、次回の募集からは、この新しい制度に登録している専門家への相談にしか補助が出ませんので特に注意が必要です。専門家へ相談する際は、かならずこの新しい制度に登録しているかどうかを事前確認してください。

 

採択率は、他の補助金と比較して高め!?

ツナグ:つまり、M&A関連事業費としては75万円~600万円(廃業費用の上乗せとして300万円)が上限金額というわけか…。タイミングさえ合えばぜひ活用してみたい補助金だね。でもこんな手厚い補助金だと採択率が低くて、狭き門になっているんじゃないのかな?

 

2020年度とは、制度が若干変更になっていますので一概に比較はできませんが、採択率は、以下の通りでした。

事業承継補助金の採択率(2020年)

・Ⅰ型 後継者承継支援型:77%(申請455件、採択350件)

・Ⅱ型 事業再編・事業統合支援型:61%(申請194件、採択118件)

 

経営資源引継ぎ補助金の採択率(2020年)

・1次採択結果:79%(申請1,373件、採択1,089件)

・2次採択結果:80%(申請690件、採択550件)

 

すぐにできることは3つ!

ツナグ:ほかの補助金と比べても採択率が高い印象だね。それだけ国も力を入れているってことかな。さっそく僕も取り掛かりたいけど・・いったい何から手を付ければいいんだろ。

 

売り手側、買い手側、どちらもまずはじめにやっていただきたいことは3つあります。

1つは、電子申請が必須となっていますので、gBizIDプライムの取得です。ほかの補助金もどんどん電子申請に一本化される傾向にありますし、これを機会に取得だけでも先に進めておいてください。ただし、取得まで2~3週間程度かかる時期もありますのでご注意ください。

次に、M&A支援サイトへの登録や専門家などへの相談を活用した情報収集をスタートさせることです。近年、M&A市場は、どんどん拡大し、活性化していますが、マイカーやマイホームと比較しても流動的でクローズドな一面もある市場です。まずは、情報収集から始めてください。

最後に、公募要領の熟読です。自社の取り組みが補助金の交付ルールに合致しているのかどうか、どのような手順で進めなければならないのか?など確認をしながら進めてください。

 

ツナグ:なるほど、昨年よりもパワーアップしたようだし、なんとかうまく活用して僕のビジネスをスケールさせる絶好のチャンスにするぞー!!

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。

中小企業診断士 山本 哲也