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スモールビジネスでの活用が考えられる破産による事業再生①

小規模な企業になじむ破産による事業再生

 倒産手続において、破産は典型的な清算型の手続と位置づけられます。清算型の手続とは、企業の債権債務関係を清算し、法人格を消滅させる手続をいいます。すなわち、破産は典型的な会社をたたむための手続といえます。

 したがって、少なくとも法律論としては、裁判所を通じた手続を用いて事業を再生する場合は、清算型の破産ではなく、再建型の民事再生を用いるべきであるといえます。

しかし、民事再生の場合は、法的手続それ自身に多額の費用を要すること、手続自体が複雑であることなどから、利用するハードルは決して低いものではありません。実際、帝国データバンク『全国企業倒産集計2020年度』によれば、2020年度の倒産件数のうち、破産は6718件(構成比91.9%)なのに対し、民事再生法は260件(同3.6%)にとどまることからも民事再生をすることが容易ではないことがうかがえます。)特に、規模の小さい企業において民事再生を用いて再建を図るのは決して容易ではありません。

 実は一見矛盾しているかもしれませんが、破産手続により事業再生を行うことがあります。今回は「破産による事業再生」について、説明したいと思います。

 

破産による事業再生はどのような方法で行うのか

破産による事業再生の主な方法は、企業のうち、業績が好調な事業を事業譲渡し、事業譲渡後に、当該企業の法人格を破産手続により消滅させるというものです。民事再生のような多額の費用や手間を要することなく、柔軟に好調な事業のみを残せるという点で規模の小さい企業であっても事業継続しやすいという点にメリットがあります。

しかしながら、破産による事業再生を行うにあたってはさまざまな留意点があります。

 

破産申立前に事業譲渡を行う場合

通常、破産申立てを行う前には、いったん事業を停止します。しかし、事業の性質上常に事業を継続しておかなければならないものの場合は、少しの間であっても、事業を停止することで事業価値が大きく毀損することがあります。

また、次回で説明する破産手続開始決定後に事業譲渡をする場合は、事業譲渡までかなり時間がかかることがありますが、破産申立前であれば迅速に事業譲渡を行うことができ、その分事業価値が損なわれるのを最小限にすることができます。

その一方で、破産申立前に事業譲渡を行うと、リスクが生じる場合があります。それは、事業譲渡の価額等が適正でない場合は、破産手続開始決定後に破産管財人により否認権を行使されてしまうということです。

実際、事業譲渡当時、支払不能の状態にあった企業につき、企業の責任財産の引き当てが減少することになることからすれば、債権者を害する行為に該当するなどとして、破産管財人による否認権行使の対象となるとした裁判例もあります(東京地決平成22年11月30日金商1368号54頁。なお、この裁判例では事業譲渡の譲受会社が譲渡会社の債務につき重畳的債務引受をしなかったことも詐害行為否認の対象となる根拠とされています)。

したがって、破産管財人による否認権行使のリスクを少なくするためにも、破産手続申立前に事業譲渡を行う場合は、少なくともその対価についての根拠を明確にするとともに、事業譲渡の対価たる金銭について、全額を破産管財人に引き継げるようにする必要があるでしょう。

 

破産申立後から破産手続開始決定前の間に事業譲渡を行う場合

破産申立を行ったとしても、必ずしも破産手続開始決定がすぐに出されるとは限りません。

破産申立てから破産手続開始決定までの間も事業継続をしなければ事業の価値が毀損されるような場合は、利害関係人の申立て等により裁判所による保全管理命令(破産法第91条)によって選任された保全管理人により事業が継続されることとなります。

では、保全管理人による管理の段階で事業譲渡をすることができるのでしょうか。破産法上保全管理人が「常務に属しない行為」をするには、裁判所の許可を得なければならないとされています(破産法第93条第1項)。事業譲渡は基本的には常務に属する行為とはいえないので、裁判所の許可が必要となります。このほか、事業譲渡を行うために必要な株主総会決議(会社法第467条)が必要であるのかについては解釈上争いがあります。理論的には、破産手続開始前となるので株主総会決議は必要であるようにも思えますが、決議は不要という運用をしている裁判所もあるようです。

ただし、そもそも、保全管理人による管理は破産申立てから破産手続開始決定までのいわば過渡期として現状を維持すべき状態といえますので、あえてこの段階で事業譲渡をしなければならない必要性は少ないでしょう。

次回の予告

次回は、破産手続開始決定後の事業譲渡について、そのメリット・デメリットなどについて解説します。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久

中小企業の私的整理に関する新しいガイドラインができました③

再生型私的整理手続の流れ

今回は、『中小企業版私的整理ガイドライン』に記載のある再生型私的整理手続と廃業型私的整理手続の流れについて解説します。

まず、廃業を前提としない、再生型私的整理手続は、事業再生計画案や弁済計画案の調査報告等を第三者の立場として行う第三者支援専門家を選任します。第三者支援専門家とは、再生型私的整理手続及び廃業型私的整理手続を遂行する適格性を有し、その適格認定を得た弁護士、公認会計士などの専門家をいいます。適格性の認定は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が設置する中小企業活性化全国本部及び一般社団法人事業再生実務家協会にて行い、認定された第三者支援専門家のリストがウェブサイトにて公表されています(主要債権者全員の同意があれば、リストに掲載されていない専門家を選任しても構いません。なお、事業再生計画案に債務減免等が含まれる場合は、弁護士法第72条に抵触することを避けるため、選任する第三者支援専門家に弁護士を加える必要があります。)。

第三者支援専門家を選任したら、主要債権者に対して、再生型私的整理手続を検討している旨を申し出るとともに、第三者支援専門家の選任について、対象債権者全員からの同意を得ます。主要債権者の同意が得られた第三者支援専門家は、中小企業者の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を開始します。

事業再生計画策定に関し、資金繰りの安定化のために必要があるときは、対象債権者に対して一時停止の要請を行うことができます。一時停止の要請は、従前から債務の弁済や経営状況・財務状況の開示等により、中小企業者が金融機関等との間で良好な取引関係が構築されているかどうか、債務減免等の要請がありうる場合は、再生の基本方針が金融機関等に示されていることがポイントになります。

そして、中小企業者は、事業再生計画案を策定します。事業再生計画案には、おおむね以下の内容を記載します(債務減免等を求めない場合は、記載事項が緩和されます。)。

  • 企業の概況
  • 財務状況(資産・負債・純資産・損益)の推移
  • 保証人がいる場合はその資産と負債の状況(債務減免等を要請する場合)
  • 実態貸借対照表(債務返済猶予の場合は任意)
  • 経営が困難になった原因
  • 事業再生のための具体的施策
  • 今後の事業及び財務状況の見通し
  • 資金繰り計画(債務弁済計画を含む)
  • 債務返済猶予や債務減免等を要請する場合はその内容と経営責任の明確化(経営保証における保証人の資産の開示と保証債務の整理方針を含む。なお、私的整理ガイドラインでは、経営責任について経営者の退任を原則としていますが、再生型私的整理手続では必ずしも退任は求められていません。)

 事業再生計画案においては、実質的に債務超過である場合は、基本的には5年以内に解消すること(私的整理ガイドラインでは、3年とされているのでその分要件が緩和されていることになります。)及び実質的な債務超過を解消する年度では、有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下とすることが求められています。

また、経常利益が赤字である場合は、おおむね3年以内を目途に黒字に転換することなどが必要になります。

さらに、債務減免等を伴う場合は、破産手続による清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがある等、債権者にとって経済合理性があることを記載することが求められています。

その後、第三者支援専門家によって当該事業再生計画案の相当性及び実行可能性等の調査を経て報告書が作成され、債権者に提出されます。そのうえで、債権者会議を経てすべての債権者の同意が得られれば事業再生計画が成立します。

事業再生計画が成立したのちも、外部専門家や主要債権者は、事業再生計画成立後の中小企業者の事業再生計画達成状況等について、3事業年度をめどに定期的にモニタリングを行います。計画と実績の乖離が大きい場合は、事業再生計画の変更や抜本再建、法的整理手続、廃業等への移行を行うことを検討します。

 

廃業型私的整理手続の流れ

事業の廃業を前提とする廃業型私的整理手続についても「支払いの一時停止→計画案策定→専門家による計画案の調査・報告→債権者会議による債権者の同意→モニタリング」という大きな流れは変わりません。

ただし、廃業型私的整理手続の場合は、事業の継続を前提としないため、再生計画ではなく弁済計画になること、弁済計画案においては、弁済における各債権者間の衡平や破産手続よりも多くの回収を得られる見込みがある等の対象債権者にとって経済合理性等についてより丁寧な説明が求められることなどの特徴があります。また、廃業型私的整理手続が終了しても企業の法人格が消滅するわけではないので、最終的には通常清算により法人格を消滅させます。

なお、原則として、対象債権者に対する金融債務の弁済が全く行われない弁済計画は想定されないものの、公租公課や労働債権等の優先する債権を弁済することにより金融債務に対する弁済ができない弁済計画案も、その経済的合理性次第では排除されないと考えられています(『「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」Q&A』Q90)。このことは、金融債務に対する弁済がなくても廃業型私的整理手続を利用することで、破産を回避する余地があることを意味します。

 

「経営者保証ガイドライン」との関係

再生型私的整理手続と廃業型私的整理手続のいずれにおいても、中小企業者の債務にかかる保証人が誠実に資産開示をするとともに、原則として、経営者保証に関するガイドラインを活用する等して、当該主債務と保証債務の一体整理を図ることに努めるものとされています。中小企業者の債務だけではなく、代表者等の個人が負う債務も併せて整理することが推奨されています。

コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻による物価高、急激な円安など企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。資金繰りが困難な状態に陥ったときの取りうる一つの方法として中小企業私的整理ガイドラインは有効なものといえるのではないでしょうか。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久

 

中小企業の私的整理に関する新しいガイドラインができました②

有事における中小企業者と金融機関の役割

今回も、前回に引き続き『中小企業版私的整理ガイドライン』について解説します。前回はガイドラインにおいて平時における中小企業者と金融機関の役割がどのようなものとされているかについて説明しました。

これに対し、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じたため、経営に支障が生じ、又は生じるおそれがある状況である有事の場合には中小企業者と金融機関とはどのような役割を期待されているのでしょうか。

 

【有事における中小企業者の役割】

1 経営状況と財務状況の適時適切な開示等

事業再生等を図るために必要な、正確かつ丁寧に信頼性の高い経営情報等を金融機関に対し開示・説明します。これは、金融機関が事業再生等のための金融支援などを検討するうえでも極めて重要なものといえます。

2 本源的な収益力の回復に向けた取組み

金融機関による金融支援もさることながら、事業再生を行うにあたっては、中小企業者は自律的・持続的な成長に向け、本源的な収益力の回復のための取組みを進めていくことが求められます。

3 事業再生計画の策定

中小企業者は、必要に応じて、専門家等に相談し、その支援・助言を得つつ、自力で事業再生計画を策定することが望ましいとされています。

そして、金融支援を求める場合においては、事業再生計画には、①実行可能性がある内容であること、②金融支援の必要性・合理性があること、③金融債権者間の衡平や金融機関にとっての経済合理性が確保されていること、④

経営責任や株主責任が明確化されていることが必要であるとされています。

 

【有事における金融機関の役割】

1 事業再生計画の策定支援

金融機関は、中小企業者が作成する事業再生計画の合理性や実現可能性等について、必要に応じて支援をしながら確認をしていきます。

2 専門家を活用した支援

金融機関単独では事業再生計画の策定支援が困難であると見込まれる場合や、支援にあたり債権者間の複雑な利害調整を必要とする場合には、専門家等による専門的な知見・機能を積極的に活用します。

 

有事にも段階がある

有事における中小企業者及び金融機関の役割について解説しましたが、ガイドラインにおいては以下のように有事の段階を分けています。

 

① 返済猶予等の条件緩和が必要な段階

② 債務減免等の抜本的な金融支援が必要な段階

③ ①・②の措置を講じてもなお事業再生が困難な場合

 

①の段階であれば、まず中小企業者は経営改善計画策定等により、収益性の回復や遊休資産の売却など自らの力による事業再生を目指し、必要に応じて元本・利息の猶予など金融機関による支援を求めていきます。

それでもなお、事業再生が円滑に進まない場合は、DESや債務の減免などの抜本的な支援を求めるのが②の段階です。この場合は企業においても経営者(場合により株主)の責任のあり方などが問われることになります。

さらに、もはや自力では事業再生が困難であり、スポンサーによる支援や経営の共同化など他の企業に支援を求めるのが③の段階です。

①ないし③の段階を経てもなお事業継続が困難である場合は、スポンサーへの事業譲渡等や事業の清算なども視野に入れざるを得ないということになります。

 

中小企業版私的整理手続の概要

ガイドラインでは、再生型私的整理手続と廃業型私的整理手続が定められています。

再生型私的整理手続とは、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難である場合に利用されることが想定されています。

また、廃業型私的整理手続とは、過大な債務を負い、既存債務を弁済することができないことや近い将来において弁済が困難になることが 確実である一方で、円滑かつ計画的な廃業を行うことにより、中小企業者の従業員に転職の機会を確保できる可能性があり、経営者等においても創業や就業等の再スタートの可能性があるなど、早期廃業の合理性が認められる場合に利用されることが想定されています。

手続の流れとしては、中小企業者が債権者たる金融機関の承諾を得て事業再生計画又は弁済計画を策定し、実行していきます(計画策定の際、必要に応じて債務の支払いの一時停止などを行うこともあります。)。計画の策定や実行の状況のモニタリングには主要債権者や外部の専門家の主導的な役割が期待されています(詳細については次回解説いたします。)。

 

次回の予告

次回は、再生型私的整理手続と廃業型私的整理手続の詳しい流れ、それぞれの手続の具体的な違い、経営者保証ガイドラインとの関係、私的整理ガイドラインとの相違等について解説いたします。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久

自社の事業を見直す経営改善計画②

実抜計画と合実計画

前回のコラムでも解説したように、経営改善計画には、実抜計画と合実計画の2つがあります。

実抜計画とは、「実」現可能性の高い「抜」本的な経営再建計画をいいます。ここにいう「実現可能性の高い」とは、

① 計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること。

② 計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと。

③ 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること

「抜本的な」とは、具体的には、計画策定後おおむね3年後に債務者の区分が正常先となることを言います。

他方、合実計画とは、「合」理的かつ「実」現可能性の高い経営改善計画をいいます。ここにいう「合理的」とは、計画期間が5年以内(中小企業の場合は5年を超えおおむね10年以内)で、計画終了後に債務者の区分が正常先となるものをいいます(金融機関の支援を要することなく自助努力で事業継続が可能なときは要注意先でも差し支えありません)。

認定支援機関は主に中小企業の支援を行います。中小企業において合実計画は実抜計画とみなすとされていることから、認定支援機関は合実計画の策定に関与することが多いといえます。

 

経営改善計画にはどのような内容が記載されているのか

中小企業庁『認定支援機関による経営改善計画策定支援事業に関する手引き』では、経営改善計画策定支援事業の対象となる経営改善計画にはおおむね以下の内容の記載が想定されています。

① 債務者概況表

債務者概況表には、企業の事業内容、株主構成、役員構成、直近の決算書の概要、主たる債権者及び債権の額などが記載されます。いわばこの表をみれば企業の概況をおおむね理解することができるものです。

② ビジネスモデル俯瞰図

企業のビジネススキームを簡単にまとめた図で、企業が抱える問題点などの把握をすることができます。

③ 企業集団の状況

企業集団の状況とは、企業の資本関係(誰がいくら出資しているか)、金融取引関係(どの金融機関がいくら貸し付けているか)を図で記載したものです。

企業集団の状況からは、金融支援の対象となる企業の範囲、支援対象金融機関の範囲、窮状の責任がある関係者の特定などが明らかになります。

④ 資金実績表

直近1期と今期の資金状況(売上、借入、返済など)を月ごとに表にまとめたもので、企業の資金繰りの概要を把握することができます。

⑤ 経営改善施策(アクションプラン)及びモニタリング計画

債務超過・過重債務の解消を図るため、事業内容、業務内容、財務構造の見直しをするための施策とその実施時期について記載します。後述する計数計画は定量的なものであるのに対し、経営改善施策は、例えば、「人員整理による販管費の削減」といったように、定性的なものとなります。

また、計画策定後、経営改善計画の進捗・実行状況を把握し、計画と実績に乖離がないか、乖離がある場合は計画の修正の必要がないかなどのモニタリングを行います。このようなモニタリングを行う計画についても記載します。

⑥ 計数計画

計数計画とは、経営改善施策による改善効果を数値化した計画のことであり、施策実施後の借入金返済予定額を把握するために策定されます。

計数計画は、基本的には「損益計画(P/L)」、「貸借対照表計画(B/S)」、「キャッシュフロー計画(CF)」の財務3表を策定します(例外的に所定の場合は損益計画と簡易キャッシュフロー計画などを策定すれば足りる場合もあります。)。具体的には直近1~2期と各計画期における各種財務3表の数字の推移を記載することとなります。

計数計画によって企業による借入金の返済がどの程度可能かが判断されることとなります。したがって、計数計画の内容いかんによっては、合実計画・実抜計画の要件を充足しないこともありうるため、合理的な根拠に基づきつつも相当な計画を策定しなければなりません。なお、計数計画には、金融機関による支援も記載します。

⑦ 資産保全状況

資産保全状況とは、各金融機関が、企業の資産について設定している担保(抵当権など)の状況をまとめたもので、企業の資産がどの程度担保に供されているのかなどがあきらかになるものです。

⑧ 清算配当見込率

仮に現段階で企業が破産・清算した場合、各債権者に対してどれほどの配当が見込めるのかを記したものです。破産・清算の場合よりも経営改善による事業継続の方がより多くの返済が見込めるというのであれば、当該経営改善計画は、金融機関にとって合理的なものであるといえるため、支援が期待できることとなります。

 

認定支援機関による経営改善計画策定の支援

上記のように、経営改善計画に記載する内容は多岐にわたり、企業が自社の力だけで作成するのは容易ではありません。そこで、専門的、客観的な視点から認定支援機関による経営改善計画の策定の支援が必要になる場合があります。そして、支援に要する費用のうち3分の2については、公費による助成を受けることができます(経営改善計画策定支援事業(通称405事業)。なお、認定支援機関は、計画策定だけでなく、モニタリングの支援も行います。)。

 

次回の予告

次回は、金融機関による支援の具体的な内容、金融機関に経営改善計画を承認してもらうためのバンクミーティング、計画策定後のモニタリング等について解説します。

 

弁護士・中小企業診断士 武田 宗久