廃業補助金とは?廃業・再チャレンジ枠の仕組み
「会社をたたみたいが、廃業にもお金がかかると聞いて不安」
そんな経営者の方は少なくありません。
在庫の処分費用、店舗の原状回復費、専門家への相談費用など、廃業には想像以上にコストがかかります。
このコストの一部を後押ししてくれるのが、いわゆる「廃業補助金」です。
この記事では、廃業補助金の正体である「廃業・再チャレンジ枠」の趣旨と、どんな場面で活用できるのかを中小企業診断士の視点で解説します。
結論から言うと、廃業補助金は単に会社をたたむための費用を補うだけの制度ではありません。
廃業を機に新しい事業へ再挑戦する経営者や、M&Aと組み合わせて会社の一部を残しながら整理を進める経営者を後押しするための枠組みです。
制度の正式名称は「事業承継・M&A補助金」の一枠である「廃業・再チャレンジ枠」です。
全体像については以下の記事もあわせてご覧ください。
事業承継・M&A補助金とは?4つの枠と使い方を中小企業診断士が解説
廃業・再チャレンジ枠が対象とする費用
廃業・再チャレンジ枠が想定しているのは、主に次のような費用です。
- 廃業時にかかる在庫処分費・原状回復費などの整理費用
- 廃業と同時に新たな事業を始める際の再チャレンジ費用
- M&Aによる事業譲渡と組み合わせて廃業する場合の関連費用
つまり「廃業して終わり」ではなく、「廃業した後どうするか」まで見据えた制度設計になっているのが特徴です。
補助率や補助上限額、対象経費の詳細は公募回ごとに変更されるため、本記事では具体的な数字は記載しません。
申請を検討される際は、必ず中小企業庁や運営事務局が公開している最新の公募要領をご確認ください。
廃業補助金が活用される具体的な場面
診断士として相談を受ける中で、廃業補助金が有効に機能するのは主に次のような場面です。
後継者がおらず事業を畳まざるを得ない場合
後継者不在で事業継続が難しく、廃業を選ぶしかないケースです。
在庫や設備の処分費用の負担を軽減できる可能性があります。
廃業と同時に新規事業へ再挑戦する場合
一つの事業を畳み、別の業態で再スタートを切るケースです。
再チャレンジという制度趣旨に最も合致する活用場面といえます。
M&Aで事業の一部を残しつつ整理する場合
会社全体を廃業する前に、価値のある事業だけを譲渡できないか検討する経営者も増えています。
廃業前に事業譲渡という選択肢を検討したい方は、以下の記事も参考にしてください。
事業の買い手を探す個人M&Aの流れについては、こちらでも詳しく解説しています。
個人がスモールM&Aで会社を買うには?探し方から成約までの流れを解説
廃業補助金を検討する際の注意点
廃業補助金の申請には、いくつか押さえておくべき注意点があります。
まず、廃業そのものを目的化した申請は制度趣旨とずれる可能性があります。
再チャレンジや事業承継・M&Aとの関連性を、事業計画の中で明確に示すことが重要です。
次に、対象経費や申請要件は公募回によって変わるため、過去の情報をそのまま鵜呑みにしないことです。
申請時点の最新の公募要領を必ず確認しましょう。
また、事業計画書の完成度が採択の可否を左右します。
書き方のポイントは以下の記事にまとめています。
補助金申請の基本|採択される事業計画書に共通する5つのポイント
よくある質問
廃業補助金は個人事業主でも使えますか?
制度上、個人事業主も対象となり得ますが、公募回ごとに対象者要件が定められています。
申請前に最新の公募要領で自身が対象に含まれるか確認してください。
廃業ではなくM&Aを選ぶべきか迷っています
廃業は事業を完全に終了させる選択ですが、M&Aであれば従業員の雇用や取引先との関係を一部でも引き継げる可能性があります。
判断に迷う場合は、廃業とM&Aの両方の選択肢を比較検討することをおすすめします。
まとめ
廃業補助金(廃業・再チャレンジ枠)は、廃業にかかる費用負担を軽くしつつ、再チャレンジやM&Aによる事業の存続を後押しする制度です。
対象経費や補助率は公募回ごとに変わるため、申請を検討する際は必ず最新の公募要領を確認しましょう。
廃業とM&Aのどちらが自社に適しているか判断がつかない場合は、中小企業診断士による客観的な整理が役立ちます。
弊社でも個別の状況に応じたご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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