中小企業診断士が独立後に仕事を得るには?実際の営業・紹介ルートを解説

中小企業診断士が独立後に仕事を得るには?実際の営業・紹介ルートを解説

中小企業診断士は独立後、どうやって仕事を獲得しているのか

中小企業診断士として独立を決めたものの、「実際にどうやって最初の仕事を得ればいいのか分からない」という不安を抱える方は少なくありません。

資格を取得しても、開業すれば自動的に依頼が来るわけではないからです。

この記事では、独立診断士が実際に案件を得ている代表的なルートを、営業・紹介の両面から具体的に紹介します。

読み終える頃には、独立後の最初の一年間で何に力を入れるべきかが見えてくるはずです。

結論から言うと、独立直後の中小企業診断士が仕事を得る主なルートは、公的機関からの紹介、診断士協会や研究会のネットワーク、金融機関や他士業からの紹介、そして自主的な情報発信の4つです。

いきなり自力で新規開拓するのではなく、まずは「紹介してもらえる関係」をどれだけ早く作れるかが独立初期のカギになります。

そしてもう一つ、意外と語られないのが時期です。公的機関の仕事には募集の季節があり、そこを外すと1年待つことになります。この点は後半で詳しく書きます。

独立診断士の主な仕事獲得ルート

公的機関からの紹介

よろず支援拠点や商工会議所、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的支援機関は、専門家を経営者に紹介する仕組みを持っています。

こうした機関の専門家登録名簿に載ることで、経営相談の現場に立ち会う機会が生まれます。

各機関の役割の違いはよろず支援拠点とは?無料相談でできることを中小企業診断士が解説でも解説していますので、独立前に一度目を通しておくと動きやすくなります。

ただし、この登録には応募できる時期が決まっています。後述の「公的機関の仕事は2〜3月の募集で決まる」を必ず読んでください。

診断士協会・研究会からの紹介

中小企業診断士協会や勉強会などの研究会に所属すると、先輩診断士から仕事の一部を任されたり、共同案件に加わったりする機会が増えます。

特に独立して間もない時期は、実績よりも「顔が見える関係」が仕事につながりやすい傾向があります。

金融機関・他士業からの紹介

銀行や信用金庫、税理士・社会保険労務士といった他士業は、日常的に経営者と接点を持っています。

経営改善や事業計画づくりで診断士の視点が必要になった際に、紹介先として声がかかるケースは多くあります。

前職・人脈からの直接依頼

会社員時代の取引先や同僚から直接相談を受けるケースも、独立初期の貴重な仕事獲得ルートです。

信頼関係がすでにできているぶん、話がスムーズに進みやすいという利点があります。

自主的な情報発信

ブログやセミナー、SNSでの発信は即効性こそ低いものの、長期的には「専門分野を持つ診断士」として認知される手段になります。

独立前の準備段階からどの分野で発信していくかを決めておくと、独立後の立ち上がりが早くなります。

独立前に整えておくべき準備全般は中小企業診断士として独立するには?独立前に整えておきたい準備と心構えにまとめています。

公的機関の仕事は2〜3月の募集で決まる

ここからは、独立してから知って「先に知っておきたかった」と思ったことを書きます。

公的機関の専門家登録や業務の公募は、2〜3月に集中します。

理由は単純で、国や自治体の年度が4月に始まるからです。

4月からの支援体制を組むために、その手前の2〜3月に募集をかけ、選考を終えておく必要があります。

この時期を外すと、次は1年後

ここが重要なところです。

たとえば4月に独立して、事業が少し落ち着いてから公的機関に登録しようと考えたとします。

しかし次の募集は翌年の2月です。

準備が整ったころには、1年分の公的な仕事を丸ごと取りこぼしていることになります。

独立初年度は、売上の柱が一本でも多いほど楽になります。その一本を、知らなかったというだけで落とすのはもったいない話です。

逆算して準備しておくもの

2〜3月に動けるようにするには、その時点で次のものが揃っている必要があります。

  • 中小企業診断士としての登録完了(実務補習または実務従事を済ませておく)
  • 職務経歴書と、支援実績をまとめた資料
  • 応募要件を満たす実務経験の整理
  • 機関によっては推薦者や所属先に関する情報

募集要項が公表されてから準備を始めると、締切に間に合わないことがあります。

前年の秋ごろに、狙っている機関の前年度の募集要項へ目を通しておくと、自分に何が足りないかが分かります。

独立の時期そのものを合わせる考え方

公的機関の仕事を柱の一つにしたいのであれば、独立の時期を年度に合わせるという選択もあります。

独立直後はまだ案件が少なく、時間があります。

その時間を募集対応に充てられるかどうかで、初年度の立ち上がりはかなり変わります。

私自身は2月に独立しました。

ちょうど募集の時期と重なったため、独立した最初の年から、ご紹介をいただいたうえで公的機関に登録することができました。

もし4月や5月に独立していたら、同じ登録は翌年になっていたはずです。初年度の売上の組み立ては、まったく違うものになっていたと思います。

なお、登録の場面では紹介が効くこともあります。時期と人のつながりは、どちらか一方ではなく両方を揃えておくと動きやすくなります。

もちろん機関によって要件も時期も異なるため、志望先の実際の募集スケジュールは事前に確認してください。

仕事を獲得しやすい診断士に共通する行動

複数のルートから継続的に仕事を得ている診断士には、いくつか共通点があります。

1つは、専門分野を絞って発信していること。

何でもできると謳うより、「事業承継」「補助金申請」など得意分野を明確にした方が紹介されやすくなります。

もう1つは、紹介してくれた相手への報告をこまめに行うこと。

紹介者は自分の信用を分けている立場なので、案件の進捗や結果を共有する姿勢が次の紹介につながります。

独立後の仕事獲得で注意したいこと

紹介ルートに頼りすぎると、案件の種類や単価が紹介者の意向に左右されやすくなります。

特定の1つのルートに依存せず、複数のルートを並行して育てておくことが大切です。

また、報酬や契約条件は案件によって内容が大きく異なるため、個別にお見積りする前提で話を進める必要があります。

金額の相場を最初から決めてかかるのではなく、依頼内容をすり合わせたうえで条件を提示する姿勢が信頼につながります。

よくある質問

公的機関の専門家登録は、いつ応募すればよいですか?

2〜3月です。国や自治体の年度が4月に始まるため、募集はその直前に集中します。

この時期を逃すと次の募集は翌年になります。独立初年度から公的な仕事を取りたいのであれば、前年の秋には準備を始めておくことをおすすめします。

独立直後、最初の仕事はどこから来ることが多いですか?

前職の人脈や、診断士協会・研究会からの紹介が最初のきっかけになるケースが多く見られます。

公的機関の専門家登録は審査や実績要件がある場合があり、さらに募集が2〜3月に集中するため、独立と同時に動き出すのが理想です。

発信活動はいつから始めるべきですか?

独立前から始めるのが望ましいです。

発信内容が蓄積されるまでに時間がかかるため、独立してから着手すると仕事につながるまでに空白期間ができやすくなります。

まとめ

中小企業診断士が独立後に仕事を得るルートは、公的機関、協会・研究会、金融機関や他士業、そして自主的な発信の4つに大別されます。

1つのルートに依存せず、独立前の準備段階から複数のルートを並行して育てておくことが、安定した案件獲得につながります。

そして忘れてはいけないのが時期です。公的機関の募集は2〜3月に集中し、外すと次は1年後になります。独立のスケジュールを組む段階から、この季節性を織り込んでおいてください。

事業承継や経営改善など、中小企業診断士に相談できる具体的な支援内容については、当社でも個別のご相談を承っております。

独立後の営業戦略や案件の進め方でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

執筆・監修

木下 綾子

中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。


「個人でスモールM&Aをしたい」なら――
著者と学べるLINEオープンチャット「『個人でできるスモールM&A実践録』著者と学ぶ勉強部屋」を運営しています。参加特典として「スモールM&A案件チェックリスト―失敗を避け、成功率を高める10の視点」(PDF)をお受け取りいただけます(匿名参加OK・無料)。

オプチャに参加して特典を受け取る
個別に相談する(公式LINE)