経営改善計画の作り方がわからず手が止まっていませんか
「経営改善計画を作ってほしい」と金融機関から言われたものの、何から手をつければいいのかわからない。
そんな相談を、私たちは何度も受けてきました。
経営改善計画とは、業績が悪化した会社が「どうやって立て直すか」を数値と行動計画で示す資料のことです。
自分で作ることは十分可能ですが、順序を間違えると何度も書き直すことになります。
この記事では、経営改善計画の作り方を5つの手順に整理し、自分で作成する際の注意点までまとめてお伝えします。
経営改善計画の作り方|結論は「現状把握→数値化→行動」の順番
結論からお伝えすると、経営改善計画の作り方は次の5つの手順で進めるのが基本です。
1. 現状分析(財務と業務の両面から課題を洗い出す)
2. 課題の整理と優先順位づけ
3. 数値計画の作成(3〜5年の損益・資金繰り計画)
4. アクションプラン(具体的な行動)への落とし込み
5. 金融機関への説明とモニタリング体制の構築
順番を飛ばして数値計画から作り始めると、根拠のない数字になりがちです。
必ず現状分析から始めることが、遠回りに見えて一番の近道になります。
手順1:現状分析で「なぜ苦しいのか」を数字で把握する
最初にやるべきは、自社の現状を客観的な数字で把握することです。
過去3期分の決算書を並べて、売上・利益・借入金がどう推移してきたかを確認します。
あわせて、資金繰り表(お金の出入りを月単位で管理する表)を作り、資金がいつショートしそうかを見える化しましょう。
赤字の原因が「売上減」なのか「固定費過多」なのかによって、対策はまったく変わってきます。
手順2:課題を整理し、優先順位をつける
現状分析で見えてきた課題を、影響の大きい順に並べ替えます。
中小企業の場合、課題は「本業の収益力」と「借入金の返済負担」の2つに大別できることが多いです。
すべてを同時に解決しようとせず、資金繰りに直結する課題から優先的に手を打つのが実務上のコツです。
手順3:数値計画を作る(損益計画・資金繰り計画)
課題が整理できたら、3〜5年程度の数値計画に落とし込みます。
売上・原価・経費・借入金返済額を年度ごとに見積もり、利益が改善していく道筋を示します。
このとき、根拠のない右肩上がりの数字は禁物です。
金融機関は「その数字はなぜ実現できるのか」を必ず確認してきます。
手順4:アクションプランに落とし込む
数値計画を「絵に描いた餅」にしないために、誰が・いつ・何をやるかというアクションプランを具体的に書きます。
「経費削減」ではなく「不採算店舗を来期上期までに1店舗閉鎖する」というレベルまで具体化しましょう。
数値計画とアクションプランがひも付いていることが、経営改善計画全体の説得力を左右します。
手順5:金融機関へ説明し、モニタリングする
計画ができたら、取引金融機関に説明し、返済条件の見直し(リスケジュール、返済猶予のこと)などを相談します。
計画は作って終わりではなく、毎月または四半期ごとに実績と比較し、ずれがあれば軌道修正することが重要です。
このモニタリングを怠ると、金融機関からの信頼を失いかねません。
自分で作る際の注意点
自分で経営改善計画を作ることは可能ですが、いくつか注意点があります。
まず、数値計画に客観性を持たせるのが難しい点です。
自社だけで作ると希望的観測が入り込みやすく、金融機関から見ると説得力に欠ける計画になりがちです。
また、認定支援機関(国が認定した中小企業支援の専門家)の関与が必要な制度もあります。
制度活用を検討する場合は、要件や公募状況が変わることがあるため、最新の公募要領をご確認ください。
認定支援機関の役割については「認定支援機関とは?補助金・融資申請で頼れる理由とナフサ不足対応での活用法」でも解説しています。
なお当社の過去記事では、経営改善計画の作り方をより詳しく3回に分けて解説していますので、あわせてご覧ください。
費用面の後押し:405事業(経営改善計画策定支援事業)
「専門家に手伝ってほしいが、費用が負担になる」
そう感じたときに検討したいのが、405事業と呼ばれる国の支援制度です。正式名称は「経営改善計画策定支援事業」で、予算額に由来して405事業と通称されています。
どんな制度か
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の支援を受けて経営改善計画を作る場合に、専門家へ支払う計画策定費用などの一部が補助される制度です。
- 補助率:総額の3分の2
- 補助上限額:枠や支援内容により異なります(通常枠と、より手厚い枠があります)
- 申請先:各都道府県に設置されている中小企業活性化協議会
- 申請者:事業者本人ではなく、認定支援機関が申請書類を提出します
主な対象要件
一般に、次のような条件が求められます。
- 借入金の返済負担が重い、赤字が続いている、債務超過であるなど、財務上の問題を抱えていること
- 自力での計画策定が困難で、認定支援機関の有償支援を受けられること
- 金融機関からの金融支援(返済条件の変更=リスケジュール等)を受けることが見込まれること
つまり、「返済がきつく、金融機関と条件変更の話をする必要がある」局面のための制度です。前向きな投資のための計画づくりとは、想定している場面が異なります。
まだ資金繰りに余裕がある場合は「早期経営改善計画」
返済条件の変更までは必要ないものの、早めに経営を見直しておきたいという段階向けには、より簡易な「早期経営改善計画策定支援事業」(通称ポスコロ事業)という枠組みもあります。
資金繰りの把握や採算管理など、基本的な数値管理を整えるところから始められます。
利用の流れ
1. 認定支援機関(中小企業診断士・税理士等)に相談する
2. 認定支援機関と連名で、中小企業活性化協議会へ利用申請する
3. 計画を策定し、金融機関へ説明する
4. 計画に基づき、モニタリング(進捗確認)を継続する
計画を作って終わりではなく、その後の伴走まで含めて支援対象になる点が、この制度の大きな利点です。
なお、補助率・上限額・対象要件は年度や枠によって見直されます。 検討される際は、お住まいの都道府県の中小企業活性化協議会の最新情報をご確認ください。認定支援機関については認定支援機関とは?もあわせてご覧ください。
よくある質問
経営改善計画は自分だけで作れますか
作成自体は可能ですが、数値計画の客観性や金融機関への説明力を高めるには、専門家の目を通すことをおすすめします。
特にリスケジュールを伴う計画は、金融機関側の審査基準を踏まえた作り込みが必要になります。
経営改善計画の作成にかかる費用はどれくらいですか
内容により異なるため個別にお見積りします。
自社の状況や必要な支援範囲によって大きく変わるため、まずはご相談ください。
405事業は誰でも使えますか
いいえ。財務上の問題を抱えていること、金融機関からの金融支援(リスケジュール等)が見込まれることなど、一定の要件があります。返済に問題がない段階であれば、早期経営改善計画策定支援事業のほうが適しています。まずは認定支援機関にご相談ください。
経営改善計画はどのくらいの期間で作れますか
現状分析から金融機関への説明まで含めると、規模にもよりますが1〜2か月程度を見ておくと安心です。
急いで作った計画は数値の根拠が薄くなりやすいため、余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
まとめ|経営改善計画は5つの手順で着実に
経営改善計画の作り方は、①現状分析→②課題整理→③数値計画→④アクションプラン→⑤金融機関への説明とモニタリング、という5つの手順で進めるのが基本です。
自己流で数値計画から手をつけると、根拠のない計画になりがちなので注意してください。
そして、費用面では405事業(経営改善計画策定支援事業)という後押しがあります。 「専門家に頼みたいが費用が心配」という理由で手が止まっているなら、認定支援機関に相談してみる価値があります。
自社だけで進めるのが不安な場合は、中小企業診断士など経営改善の実務に詳しい専門家に相談することで、金融機関からの信頼度も高まります。
当社でも中小企業診断士による経営改善計画の作成支援を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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