川崎市中小企業成長環境支援補助金とは?対象と申請の流れ

川崎市中小企業成長環境支援補助金とは?対象と申請の流れ

川崎市内で事業を営む中小企業・個人事業主の方に向けて、川崎市が独自に実施している「川崎市中小企業成長環境支援補助金」を紹介します。

こんにちは。中小企業診断士の木下綾子です。株式会社ステラコンサルティングは川崎市に本社を置き、市内の中小企業の経営相談も受けております。

この補助金は、国の補助金に比べて知名度は高くありませんが、設備やシステムの導入、社員研修、職場環境の改善まで、幅広い取り組みに使えます。令和8年度のエントリーシートの締切は2026年10月30日(金)必着です。この記事では、対象者・補助額・申請の流れと、申請前に知っておきたい注意点をまとめます。

※この記事の内容は、2026年9月29日時点で川崎市の公式ページ・令和8年度募集要領を確認したものです。申請の際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。

川崎市中小企業成長環境支援補助金とは

川崎市中小企業成長環境支援補助金は、市内の中小企業が行う「生産性向上」や「人材の確保・定着」の取り組みに対し、経費の一部を補助する川崎市の制度です。

募集要領では、物価高騰や人手不足への対応として、市内中小企業の賃上げ原資の確保や人手不足への対応を図り、経営基盤や競争力を強化することを目的としています。

補助の対象は、次の3つの事業類型に分かれています。

  • 生産性向上支援:ソフトウェアやシステム、設備の導入
  • リスキリング支援:経営課題の解決につながる人材の育成(研修など)
  • 人材確保・定着支援:働きやすい職場環境づくりや、人材の定着・確保の取り組み

補助率・補助上限額

令和8年度の補助率と上限額は次のとおりです。

事業類型 補助率 補助上限額 補助下限額
生産性向上支援 1/2以内(賃上げ申請事業者は2/3以内) 100万円(賃上げ申請事業者は200万円) 20万円
リスキリング支援 1/2以内(デジタル人材の育成は2/3以内) 20万円(デジタル人材の育成は30万円) 10万円
人材確保・定着支援 1/2以内(特定事業は2/3以内) 各事業区分の合計100万円 20万円

特定事業の対象となる取組は、募集要領で定められています。詳しくは公式の募集要領でご確認ください。また、予算の残額によって、補助率や上限額が減る場合があります。

人材確保・定着支援は、「職場環境整備事業」「人材定着事業」「人材確保事業」の3区分があり、上限は区分ごとに50万円、合計で100万円です。人材確保事業だけで申請することはできず、職場環境整備事業か人材定着事業を含める必要があります。

賃上げ申請事業者とは

生産性向上支援で補助率2/3以内・上限200万円の適用を受けられる「賃上げ申請事業者」は、募集要領で次のように定められています。

  • 交付申請の時点で、常時使用する従業員が1名以上いること(会社役員、個人事業主とその家族従業員、試用期間中の人などは含まれません)
  • 給与支払総額を3.0%以上増加させる賃上げ計画を作り、従業員に表明していること

給与支払総額には、給料・賃金・賞与・各種手当が含まれます。福利厚生費、法定福利費、退職金、役員報酬は含まれません。申請時には、賃上げの方針を従業員に表明したことを示す書類と、前期の給与支払総額の根拠となる決算書などの提出が必要です。

対象になる事業者

主な要件は次のとおりです(すべてを満たす必要があります)。

  • 中小企業者であること(個人事業主も含む。みなし大企業は対象外)
  • 川崎市内に事業所(本社、支社、工場、店舗など)があり、交付申請時点で市内で1年以上事業を営んでいること
  • 川崎市税の納税義務者で、滞納がないこと
  • 過去2年度以内に、この補助金の同じ事業類型で交付決定を受けていないこと

市内1年未満でも、かながわサイエンスパークやかわさき新産業創造センターなど、指定の施設に入居している事業者は対象になります。

一方で、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、財団法人などは対象外です。

なお、申請は1事業者につき1件で、同じ年度に申請できるのは3つの事業類型のうち1つだけです。

申請の流れ

この補助金の特徴は、申請の前に「事業計画に関する事前確認」を受ける必要があることです。

  1. エントリーシートの提出(2026年4月17日〜10月30日必着)
  2. 事業計画に関する事前確認(無料):原則として調査員が事業所を訪問し、事業の内容や効果を確認します。事前確認は2026年11月6日(金)までに実施されます
  3. 交付申請書の作成と事務局の事前チェック:事前確認のあと、交付申請書と添付書類を作り、補助金事務局の事前チェックを受けます。問題がなければ「事業計画に関する確認書」がメールで送られてきます
  4. 交付申請書の提出(2026年4月22日〜11月13日必着):確認書を添付して提出します。先着順で受け付け、予算額に達した段階で終了します
  5. 交付決定後に事業を実施(交付決定日〜2027年1月31日)
  6. 事業実績報告書の提出:事業完了日から30日以内、または2027年2月8日のいずれか早い日まで
  7. 補助金の請求・受け取り

確認書が添付されていないと申請できません。申請書の締切は11月13日ですが、実際には10月30日のエントリーシートが最初の関門になります。

申請前に知っておきたい注意点

交付決定より前に始めた取り組みは対象外

原則として、交付決定日より前に発注・契約・支払いをしたものは補助の対象になりません。例外は、リスキリング支援と人材確保・定着支援のうち研修などの取り組みで、公募開始日(2026年4月17日)以降に申し込み・支払いをしていても、交付決定日から2027年1月31日までに実施されれば対象になります。

補助金は事業完了後の払いになる

補助金は、事業の完了後に額が確定してから支払われます(確定払い)。導入費用や研修費用は、いったん自社で支払う必要があります。

パソコンやスマートフォンなどの汎用品は対象外

パソコン、スマートフォン、タブレット、モニターなど、補助事業以外にも使える汎用品は対象になりません。そのほか、中古品、車両、リース・レンタルによる導入(ソフトウェアの月額利用やクラウドの利用を除く)、税抜単価1万円未満の消耗品なども対象外です。

他の補助金との併用に制限がある

同じ内容・同じ経費について、ほかの行政機関の補助金をすでに受けている場合は対象外です。ただし、神奈川県の「多様な人材が活躍できる職場環境整備支援奨励金」との併用は認められています。

設備投資の規模が大きい場合は、国の補助金も選択肢になります。国の代表的な設備投資の補助金については、ものづくり補助金とは?対象者と申請の流れを解説もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 個人事業主でも申請できますか?

申請できます。市内に事業所があり、市内を納税地としていることが条件です。

Q. 11月13日までに申請すれば間に合いますか?

申請書の締切は11月13日ですが、その前に10月30日までのエントリーシート提出と、事業計画に関する事前確認が必要です。事前確認の実施期間は2026年11月6日(金)までです。また、先着順で予算額に達した段階で終了するため、早めの準備をおすすめします。

Q. コンサルティング料は補助対象になりますか?

募集要領では、導入や設置工事にあたって申請者が要した調査費や事務費(コンサルティング料等)は、補助対象外の例として挙げられています。一方で、専門家指導費や専門家謝礼など、事業類型ごとに定められた経費は補助対象です。個別の経費が対象になるかは、事前確認の際に確認しましょう。

まとめ

川崎市中小企業成長環境支援補助金は、設備・システムの導入から人材育成、職場環境の改善まで幅広く使える、川崎市独自の制度です。給与支払総額を3.0%以上増やす賃上げ計画を立てて従業員に表明した場合、生産性向上支援は最大200万円(補助率2/3以内)まで補助を受けられます。ただし、予算の残額によって補助率や上限額が減る場合があります。

一方で、エントリーシート、訪問による事前確認、事務局の事前チェックと、申請までの手順が多い制度でもあります。締切から逆算して、早めに動き出すことが大切です。

事業計画の立て方については、補助金申請の基本|採択される事業計画書に共通する5つのポイントで解説しています。自社の取り組みが対象になるか迷われる場合は、お気軽にご相談ください。

参考(公式情報)

執筆・監修

木下 綾子

中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。


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