ものづくり補助金とは?対象者と申請の流れを解説

ものづくり補助金とは?対象者と申請の流れを解説

新しい機械を入れたい。

でも設備投資には大きな費用がかかり、二の足を踏んでいる。

そんな経営者の方が候補に挙げるのが「ものづくり補助金」です。

この記事では、ものづくり補助金がどんな制度か、対象になる事業者の条件、対象経費、そして申請の基本的な流れを順番に解説します。

制度の全体像をつかんで、自社が挑戦できるかどうかを判断する材料にしてください。

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者が行う設備投資を国が支援する補助金制度の通称です。

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、生産性を高める革新的な新製品・新サービスの開発や、海外需要の開拓に必要な設備投資の費用の一部を補助する制度です。

結論から言うと、対象になるかどうかは「自社の業種・規模の条件を満たしているか」「投資が生産性向上につながる計画になっているか」の2点で決まります。

補助金である以上、申請すれば必ずもらえるわけではなく、審査を経て採択された事業者だけが受け取れる点は押さえておきましょう。

直近の公募(第23次締切)はどうだったか

制度の中身は公募回ごとに見直されます。2026年9月16日時点で最新の公募は第23次締切で、すでに受付は終了し、採択も発表されています。

項目 第23次締切
公募開始 2026年2月6日(金)
電子申請の受付開始 2026年4月3日(金)17:00
申請締切 2026年5月8日(金)17:00【厳守】
採択公表 2026年8月7日(金)
申請者数 1,275者
採択者数 448者

採択者数を申請者数で割ると、採択率は約35%です。3社に2社は不採択という水準で、事業計画書の完成度がそのまま結果を分けます。

申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つで、補助上限額と補助率は次のとおりでした。

枠 従業員規模 補助上限額 補助率
製品・サービス高付加価値化枠 1〜5人 750万円 中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者および再生事業者2/3
同上 6〜20人 1,000万円 同上
同上 21〜50人 1,500万円 同上
同上 51人以上 2,500万円 同上
グローバル枠 区分なし 3,000万円 中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者2/3

このほか、大幅な賃上げに取り組む事業者には補助上限額を100万〜1,000万円上乗せする特例、最低賃金の引き上げに取り組む事業者には補助率を2/3に引き上げる特例が設けられていました。

2026年9月16日時点で、第24次の公募要領は公表されていません。次の公募を待つ段階です。

(出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト「第23次公募要領概要版」「スケジュール」「採択結果」/2026年9月16日確認)

対象者は?

対象となるのは、日本国内に補助事業の実施場所があり、常時使用する従業員が1人以上いる中小企業者・小規模企業者・小規模事業者等です(特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人も対象になります)。

業種によって「中小企業」に区分される資本金・従業員数の基準が異なるため、まずは自社がその基準内に収まっているかを確認します。

加えて、次の要件(基本要件)を満たす事業計画を用意することが求められます。第23次締切では、次の4つでした。

  • 付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費の合計)の年平均成長率を3.0%以上増加させる
  • 従業員1人あたりの給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させる
  • 事業所内の最低賃金を、事業を実施する都道府県の最低賃金より30円以上高く設定する
  • 従業員が21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定・公表する

このうち、給与支給総額と事業所内最低賃金の要件は、未達成の場合に補助金の返還義務が生じます。「採択されて終わり」ではなく、事業計画期間を通じて達成し続ける約束をして受け取る制度だという点は、申請前に必ず押さえてください。

これらの数値要件は公募回ごとに見直されるため、次の公募に申請する際は、必ずその回の公募要領をご確認ください。

対象経費は?

ものづくり補助金の対象経費の中心は、生産性向上に直結する設備投資です。

代表的なものは以下のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費(専用の機械や生産管理システムの導入、専用ソフトウェアの購入・構築の費用)
  • 技術導入費(知的財産権等の導入に要する費用)
  • 外注費(新製品・サービスの開発に必要な加工や設計・検査の外注費)
  • 専門家経費(事業遂行のために依頼した専門家への謝金)
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費(試作品の開発に必要な原材料・副資材)
  • 運搬費

第23次締切では、経費の使い方に次のような枠がはめられていました。

  • 単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が、必ず1つ以上必要
  • 機械装置・システム構築費以外の経費は、総額500万円(税抜。グローバル枠は1,000万円)までが上限
  • 海外旅費・通訳翻訳費・広告宣伝販売促進費は、グローバル枠の海外市場開拓(輸出)に関する事業だけが対象

一方で、パソコンや汎用性の高い什器など、事業計画の遂行に直接関係しない汎用品は対象外になりやすい経費です。

なお、3者以上の中古品流通事業者から型式・年式が記載された相見積もりを取得していれば、中古設備も対象にできます。

経費区分の細かい線引きは公募回ごとに変更されるため、申請前に必ずその回の公募要領で確認してください。

申請の基本的な流れ

申請から補助金の受け取りまでは、おおむね次のようなステップで進みます。

1. GビズIDプライムアカウントの取得(電子申請に必須。取得に日数がかかるため早めに準備する)
2. 事業計画書の作成(何のためにどんな設備投資を行い、どう生産性が上がるかを具体的に記載する)
3. 電子申請システムでの応募(公募期間内に必要書類とともに提出する)
4. 審査・採択発表(外部審査委員による書面審査が行われる)
5. 交付申請・交付決定(採択されただけでは発注できず、交付決定を受けてから契約・発注する)
6. 設備投資の実行(交付決定後に見積り・発注・納品・支払いを行う)
7. 実績報告・補助金の受け取り(完了後に実績を報告し、確認を経て補助金が交付される)

ここで特に注意したいのが、交付決定前に発注・契約をしてしまうと、その経費は補助対象外になるという点です。

「良い案件が見つかったから」と急いで発注する前に、必ず交付決定の通知を確認しましょう。

事業計画書の完成度は採択率に直結します。

書き方の基本は 補助金申請の基本|採択される事業計画書に共通する5つのポイント で解説していますので、あわせて参考にしてください。

申請の注意点

事業計画書は自社だけで作成することも可能ですが、審査項目に沿った構成になっていないと、内容が良くても評価されにくくなります。

認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら計画を練り上げる事業者も少なくありません。

認定支援機関が具体的にどんな支援をしてくれるかは 認定支援機関とは?補助金・融資申請で頼れる理由とナフサ不足対応での活用法 で紹介しています。

また、採択後も実績報告や一定期間の状況報告など、事務手続きが続きます。

補助金の交付を受けた後も収益状況によっては収益納付が発生する場合があるなど、交付後のルールも見落とせません。

申請前に「採択されたら何をする必要があるか」まで含めて把握しておくと、後になって慌てずに済みます。

よくある質問

個人事業主でも申請できますか?

対象者の要件を満たしていれば、個人事業主でも申請可能です。

ただし従業員数や資本金の考え方は法人と異なる点があるため、公募要領の対象者の定義を確認してください。

創業したばかりでも申請できますか?

創業間もない事業者でも、事業計画の要件を満たせば申請できる場合があります。

ただし直近の決算実績がないと収益や賃上げの計画数値の説明が難しくなることがあるため、事業計画の作り込みがより重要になります。

他の補助金と併用できますか?

同じ経費に対して複数の補助金を重複して受け取ることはできません。

さらに第23次締切では、申請締切日から遡って16ヶ月以内に、中小企業新事業進出補助金・中小企業等事業再構築促進補助金・ものづくり補助金の交付候補者として採択された事業者(辞退した事業者を除く)は、そもそも補助対象者から外れると定められていました。過去に採択された経験がある場合は、この点を最初に確認してください。

対象経費が異なれば、事業承継・M&A補助金など他の制度とあわせて活用できる場合もあります。制度ごとの対象経費の区分は個別に確認が必要です。

まとめ

ものづくり補助金は、生産性向上につながる設備投資を行う中小企業・小規模事業者を後押しする制度です。

対象者の要件、対象経費の範囲、そして交付決定前に発注してはいけないという申請の流れを押さえておけば、準備の見通しが立てやすくなります。

直近の第23次締切は申請1,275者に対し採択448者で、採択率は約35%でした。準備の質がそのまま結果に表れます。2026年9月16日時点で次の第24次の公募要領はまだ公表されていませんので、この期間はGビズIDプライムアカウントの取得と事業計画の骨子づくりに充てるのが賢明です。

制度の詳細や数値要件は改定されることが多いため、申請を検討する際は必ず最新の公募要領を確認しましょう。

事業計画書の作成や自社が対象になるかどうかの判断に迷う場合は、中小企業診断士による支援も選択肢のひとつです。

当社でも設備投資の相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

執筆・監修

木下 綾子

中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。


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