「後継者が決まったけれど、そのあとの設備投資や販路開拓にお金がかかる」
「M&Aで会社を引き継いだが、引き継いだあとの新しい取り組みに使える補助金はないか」
こうした悩みを持つ経営者や後継者は少なくありません。
この記事では、事業承継・M&A補助金の4つの枠のひとつである「事業承継促進枠」について、対象者・対象経費・申請の流れ・注意点を整理して解説します。
読み終える頃には、自社が対象になるかどうかの見当がつくはずです。
事業承継促進枠とは?対象者をまず確認
結論から言うと、事業承継促進枠は「事業承継をきっかけに経営革新(新しい取り組み)に挑戦する中小企業者等」を支援する枠です。
ここでいう事業承継とは、親族内承継(子どもや親族への引き継ぎ)だけでなく、社内承継(役員・従業員への引き継ぎ)や、第三者承継(M&Aによる引き継ぎ)も含まれます。
対象者は、事業承継を行った(またはこれから行う)代表者やその後継者で、承継後に設備投資や販路開拓などの経営革新に取り組む事業者です。
つまり「承継したこと」自体ではなく、「承継を機に新しいことに挑戦する」ことが補助の対象になる点がポイントです。
事業承継促進枠の対象経費と使い方
事業承継促進枠で使えるのは、経営革新のための投資に関する経費です。
代表的なものとして、設備費(機械装置やシステムの導入費用)、外注費、委託費などが挙げられます。
たとえば、先代から店舗を引き継いだあとに新しい販売管理システムを導入する、後継者が新商品開発のために設備を刷新する、といったケースが想定されます。
一方で、M&Aの仲介手数料やデューデリジェンス(買収監査)費用は対象外です。
これらは同じ事業承継・M&A補助金の中でも別の枠である「専門家活用枠」の対象になります。詳しくは事業承継・M&A補助金とは?4つの枠と使い方を中小企業診断士が解説で4枠全体の役割分担を整理しています。
事業承継促進枠を使う流れ(手順)
大まかな流れは次のとおりです。
1. 事業承継の計画(誰が、いつ、どのように引き継ぐか)を整理する
2. 承継後に取り組む経営革新の内容(設備投資や新規事業など)を具体化する
3. 事業計画書を作成し、公募要領に沿って申請する
4. 採択後、交付決定を受けてから発注・契約を行う
とくに④の順序を守ることが重要です。交付決定より前に発注や契約をしてしまうと、対象外になる可能性があります。
第三者承継(M&A)によって会社を引き継ぐケースでは、そもそも「誰から、どのように引き継ぐか」を検討する段階から準備が必要です。個人がスモールM&Aで会社を引き継ぐ際の流れは個人がスモールM&Aで会社を買うには?探し方から成約までの流れを解説で解説していますので、あわせてご確認ください。
事業承継促進枠を申請する際の注意点
事業承継促進枠を検討する際は、次の点に注意してください。
- 「承継したこと」だけでは対象にならず、承継後の経営革新の中身が審査される
- 対象経費と対象外経費(M&A仲介手数料等)の線引きを事前に確認する
- 交付決定前の発注・契約は原則対象外になる
- 補助率・補助上限額・公募期間は年度ごとに変わるため、必ず最新の公募要領をご確認ください
制度の詳細は毎年見直されるため、思い込みで進めず、公式の公募要領で確認する習慣をつけることが大切です。
よくある質問
Q. 親族内承継でも事業承継促進枠は使えますか?
はい、対象になります。事業承継促進枠は親族内承継・社内承継・第三者承継(M&A)のいずれも対象としており、承継の形式よりも承継後の経営革新の内容が重視されます。
Q. M&Aの仲介手数料も事業承継促進枠でまかなえますか?
いいえ、対象外です。M&Aの仲介手数料やデューデリジェンス費用は専門家活用枠の対象経費であり、事業承継促進枠は設備投資など経営革新に関する経費が対象になります。
Q. 承継してから時間が経っていても申請できますか?
公募要領で承継時期の要件が定められていることが多いため、自社の承継時期が対象期間に含まれるかどうかを、申請前に必ず公募要領で確認してください。
まとめ|事業承継促進枠を活用した経営革新を
事業承継促進枠は、事業承継そのものではなく、承継後の経営革新に使える補助金です。
親族内承継・社内承継・第三者承継(M&A)のいずれでも対象になり得るため、承継の形にかかわらず検討する価値があります。
一方で、対象経費の線引きや申請手順など、実務上つまずきやすいポイントも多くあります。
事業計画書の作り方や自社が対象になるかどうかの判断に迷う場合は、中小企業診断士による支援も選択肢のひとつです。内容により異なるため個別にお見積りしますので、まずはお気軽にご相談ください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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