「資金繰りが厳しく、このままでは倒産してしまうかもしれない」
「取引先や金融機関にどう説明すればいいのか分からない」
そんな不安を抱える経営者の方は少なくありません。
事業再生は、倒産を避けながら会社を立て直すための手段です。
本記事では、事業再生の基本的な考え方から、私的整理や第二会社方式といった代表的な選択肢、具体的な進め方、相談先までを分かりやすく解説します。
事業再生とは?倒産を防ぐ会社の立て直し方法
結論から言うと、事業再生とは、経営が苦しくなった会社が倒産(会社を消滅させること)を避けながら、事業を継続する形で立て直しを図る取り組み全般を指します。
資金繰りの悪化や借入金の返済負担が重くなったとき、多くの経営者は「廃業」か「そのまま頑張る」の二択で考えがちです。
しかし実際には、事業そのものは維持したまま、負債の整理や経営体制の見直しを行う「事業再生」という第三の道があります。
早めに着手すれば、従業員の雇用や取引先との関係、培ってきた技術やブランドを守りながら会社を存続させられる可能性が高まります。
事業再生の主な選択肢:私的整理と法的整理
事業再生の進め方は、大きく「私的整理」と「法的整理」の2つに分かれます。
私的整理とは、裁判所を通さずに、金融機関などの債権者と話し合いで返済条件の見直しや債務の一部カットを図る方法です。
裁判所の手続きを経ないため、取引先や顧客に知られずに進めやすく、事業への影響を抑えられる点がメリットです。
一方、法的整理は民事再生法などに基づき、裁判所の関与のもとで再生計画を進める方法です。
強制力がある分、債権者の合意を得やすい反面、取引先の信用に影響が及びやすいという注意点があります。
多くの中小企業では、まず私的整理での再生を検討し、それが難しい場合に法的整理へ移行するケースが一般的です。
第二会社方式による事業再生の仕組み
私的整理の中でも、中小企業でよく使われる手法が「第二会社方式」です。
第二会社方式とは、採算の取れる優良な事業だけを新しく設立した会社(または既存の別会社)に譲渡し、過大な債務は元の会社に残して清算する再生手法です。
事業譲渡や会社分割を使って優良事業を切り離すことで、従業員の雇用や取引先との契約を引き継ぎながら、身軽な状態で再スタートを切れます。
一方で、債務が残る旧会社の清算方法や、事業譲渡の対価が適正かどうかは、債権者から厳しく見られるポイントです。
進め方を誤ると「債務逃れ」と受け取られるおそれもあるため、専門家を交えた慎重な設計が欠かせません。
事業再生を進める具体的な手順
事業再生は、おおむね次のような流れで進みます。
まず現状把握として、資金繰り表や財務状況を整理し、どの程度の資金不足が生じているかを可視化します。
次に、その分析をもとに「経営改善計画」を作成します。
経営改善計画の作り方|自分で作る5つの手順 で詳しく解説していますが、売上や収益力をどう回復させるか、返済をどう継続するかを具体的な数値で示す計画です。
計画がまとまったら、金融機関など主要な債権者に説明し、返済条件の変更(リスケジュール)や債務カットへの同意を得ます。
私的整理での合意が難しい場合や、事業の一部だけを残したい場合には、第二会社方式などの手法を組み合わせて検討します。
事業再生に取り組む際の注意点
事業再生で最も重要なのは、資金が完全に尽きる前に動き出すことです。
資金繰りが行き詰まってからでは、選べる選択肢が大きく狭まってしまいます。
また、金融機関への相談を先延ばしにすると、かえって信頼関係を損ねることもあります。
早い段階で正直に状況を共有し、再生に向けた具体的な計画を示す姿勢が、交渉を有利に進める鍵になります。
なお、事業の一部を残す方法としては、第二会社方式のほかにスモールM&A(比較的小規模な会社・事業のM&A)で会社を第三者に譲る選択肢もあります。
個人がスモールM&Aで会社を買うには?探し方から成約までの流れを解説 で紹介しているように、後継者不在や事業継続が難しい場合でも、事業そのものを譲渡することで存続の道が開けるケースがあります。
よくある質問
事業再生と倒産は何が違うのですか?
倒産は事業を停止し会社を清算する結果を指すのに対し、事業再生は事業を継続しながら財務や経営体制を立て直す取り組みです。
倒産に至る前の選択肢として位置づけられます。
事業再生はどこに相談すればよいですか?
まずは顧問税理士やメインバンク、商工会議所などの公的支援機関に相談するのが一般的です。
私的整理や第二会社方式など専門的な手法を検討する段階では、事業再生に詳しい中小企業診断士や弁護士など専門家の関与が有効です。
まとめ:事業再生は早めの相談が鍵
事業再生は、倒産を避けながら会社を立て直すための現実的な選択肢です。
私的整理や第二会社方式など、自社の状況に合った手法を早めに検討することが、事業と雇用を守ることにつながります。
私たちステラコンサルティングでは、中小企業診断士が経営改善計画の作成から再生手法の選定まで伴走支援しています。
事業再生についてお悩みの際は、お早めにご相談ください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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