中小企業診断士の第2次試験に合格したあと、「実務補習」「実務従事」という言葉に戸惑う方は少なくありません。
第2次試験に合格したあとも、登録するには実務の要件を満たす必要があるからです。
この記事では、中小企業診断士の実務補習・実務従事とは何か、登録と更新でそれぞれ何日分が必要なのかを、中小企業庁の手引きに沿って整理します。
これから登録を目指す方も、更新を控えている方も、要件の全体像をつかむ参考にしてください。
中小企業診断士の実務補習・実務従事とは?
結論から言うと、実務補習と実務従事は、中小企業診断士として登録・更新するために必要な「実務の経験」を積む方法です。
中小企業庁の手引きでは、第2次試験合格者が新規に登録するには、次のいずれかで15日以上の実務要件を満たすことが求められています。
- 登録実務補習機関が行う実務補習を受講したこと
- 中小企業者に対する経営の診断助言業務、または経営の窓口相談業務に従事したこと(実務従事)
実務補習は、登録実務補習機関が実施する研修です。
実務従事は、自分で中小企業の診断助言や窓口相談の業務に携わり、その実績を証明してもらう方法です。
新規登録の要件と期限
第2次試験の合格者は、第2次試験の合格日以降3年以内に、15日以上の実務要件を満たして登録を申請する必要があります。
申請の際には、実務補習の修了証書か、実務従事の実績証明書を提出します。
令和8年(2026年)6月からは、マイナポータルを使ったオンライン申請もできるようになっています。
実務補習の日程やコースは、実施機関の最新の案内で確認してください。
養成課程を修了して登録する道もある
中小企業庁の手引きでは、第1次試験に合格し、中小企業大学校の養成課程または登録養成機関が行う登録養成課程を修了した人も、登録を申請できるとされています。
この場合の申請期限は、修了の日から3年以内です。
手引きでは、この道の登録要件に、第2次試験合格者に求められる15日以上の実務要件は挙げられていません。
中小企業大学校 東京校の養成課程は、演習や企業診断実習などを通じて、中小企業診断士に必要なスキルを身につける研修です。
企業診断実習では、受講者が班を組んで企業を訪問し、改善策を提案します。
5年ごとの更新要件
中小企業診断士の登録の有効期間は、登録の日から5年間です。
引き続き登録するには、有効期間の満了日までに更新登録を申請します。
更新には、次の2つの要件を両方満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 専門知識補充要件 | 理論政策更新研修の修了、論文審査の合格、理論政策更新研修の講師としての指導のいずれかを、合計5回以上 |
| 実務要件 | 診断助言業務等への従事、実務補習の受講、実習・実務補習の指導のいずれかを、合計30日以上 |
申請は、有効期間の満了日の約1か月前から満了日まで受け付けられます。
中小企業庁は更新の事前案内を行っていないため、期限は自分で管理する必要があります。
更新の申請も、令和8年(2026年)6月からマイナポータルでオンライン申請ができるようになっています。
更新を忘れたらどうなる?
満了日までに更新登録の申請をしないと、登録は消除されます。
消除された日から1年を超えていなければ、再登録の申請ができます。
ただし、再登録の要件は更新と同じで、消除前の5年間に要件を満たしていることが必要です。
あとから研修を受けたり実務を積んだりしても、再登録はできません。
有効期間内に要件を満たせない見込みのときは、経営診断業務の休止の申請も検討できます。
よくある質問
実務従事の30日は、どんな業務で数えられますか?
中小企業者への診断助言業務や窓口相談業務への従事、実務補習の受講、実習や実務補習の指導が対象です。
それぞれ、決められた様式の実績証明書が必要になります。
まとめ
中小企業診断士の実務補習・実務従事とは、登録と更新に必要な実務の経験を積む方法です。
新規登録では第2次試験の合格日以降3年以内に15日以上、更新では5年ごとに30日以上の実務と、5回以上の専門知識の補充が必要です。
独立を考えている方は、「中小企業診断士として独立するには?独立前に整えておきたい準備と心構え」もあわせてご覧ください。
独立後の仕事の得方は「中小企業診断士が独立後に仕事を得るには?実際の営業・紹介ルートを解説」で紹介しています。
※要件は2026年10月時点の中小企業庁「申請・届出の手引き」をもとにしています。申請の際は、必ず中小企業庁の最新の案内をご確認ください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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