スモールM&Aで事業を買いたいと考えたとき、最初にぶつかる壁が「買える案件がどこにあるのか分からない」ということです。
マッチングサイトを眺めてみても、どれが良い案件なのか判断がつかない。
問い合わせても返事が来ない。
そんな状態で止まっている方は少なくありません。
この記事は、スモールM&Aで事業や会社を買いたい人(買い手)に向けて書いています。
買い手が案件を探すための5つの入口を整理し、問い合わせの前に決めておくこと、良い案件を見極めるポイントをお伝えします。
当社代表で中小企業診断士の木下は、これまでに5つの事業を買収してきました。その経験もふまえて解説します。
買い手のスモールM&Aの案件の探し方は「入口を組み合わせる」が結論
先に結論をお伝えします。
事業を買いたい人が案件に出会う入口は、大きく分けて次の5つです。
| 入口 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| M&Aマッチングサイト | まず数を見て相場観をつけたい人 | 人気案件は問い合わせが集中しやすい |
| 公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター) | 地域で事業を引き継ぎたい人 | 紹介を待つ時間がかかることがある |
| 金融機関・税理士などの士業 | 地元に人脈がある人 | 信頼関係ができるまで紹介は出にくい |
| 知人・取引先からの紹介 | 業界内で顔が広い人 | 出会いは偶然に左右される |
| 自分から直接声をかける | 狙う業種・地域がはっきりしている人 | 相手に失礼のない打診の仕方が要る |
どれか1つに絞る必要はありません。
マッチングサイトで相場観をつけながら、公的機関や身近な専門家にも「こういう事業を探している」と伝えておく。この組み合わせが、案件に出会う確率を上げる近道です。
5つの入口の使い方
1. M&Aマッチングサイト
売り案件がネット上に公開されていて、個人でも登録して交渉を申し込めます。
案件の数が多く、業種・地域・価格帯で絞り込めるので、スモールM&Aの入口としては最初に使う方が多いでしょう。
ただし、条件の良い案件ほど問い合わせが集中します。
希望条件を保存して新着を通知で受け取り、気になる案件にはすぐ問い合わせる。このスピード感が大切です。
2. 事業承継・引継ぎ支援センター
中小機構が運営する「事業承継・引継ぎポータル」によると、センターは後継者が不在の会社の第三者への引継ぎを、相談から成約まで支援しています。
さらに「後継者人材バンク」という仕組みで、創業を目指す人と、後継者不在の会社や個人事業主を引き合わせています。
「起業したいが、ゼロから始めるより事業を引き継ぎたい」という方は、一度相談してみる価値があります。
3. 金融機関・税理士などの士業
地域の金融機関や顧問税理士のもとには、後継者に悩む経営者の相談が集まります。
ただ、こうした情報は信頼できる相手にしか紹介されません。
自分が何者で、どんな事業を、どのくらいの規模で探しているのか。それを具体的に伝え、継続的に関係をつくることが前提になります。
4. 知人・取引先からの紹介
条件面で柔軟にまとまりやすいのが、紹介の良いところです。
一方で、出会いは偶然に左右されます。
「事業を引き継ぎたいと考えている」と周囲に話しておくだけでも、思わぬところから声がかかることがあります。
5. 自分から直接声をかける
狙う業種と地域がはっきりしているなら、気になるお店や会社に直接打診する方法もあります。
いきなり「売ってください」ではなく、まずは事業への敬意と、自分が引き継いだ後に何をしたいかを伝えるのが礼儀です。
問い合わせの前に決めておく3つのこと
案件を探し始める前に、次の3つを決めておくと、判断がぶれません。
- 予算の上限:自己資金と融資を合わせて、いくらまでなら出せるか
- 関われる時間:自分が現場に立つのか、任せる人がいるのか
- 譲れない条件:業種・地域・従業員の有無など
この軸がないと、案件を見るたびに迷い、売り手への返事も遅れます。
売り手の側から見ると、返事の遅い買い手は「本気ではない」と受け取られてしまいます。
「良い案件があったら教えて」と頼む前に何を準備すべきかは、「良い案件があったら教えて」という前に担当者がすべきことでも解説しています。
良い案件を見極めるポイント
案件の情報を見るときは、数字だけでなく次の点を確認します。
- 譲渡の理由:高齢・後継者不在なのか、業績の悪化なのか
- オーナーへの依存度:オーナーが抜けても売上が保てるか
- 従業員と顧客:引き継ぎ後も残ってくれる見込みがあるか
安い案件には、安い理由があります。
気になる案件が見つかったら、秘密保持契約(NDA)を結んで詳しい資料を受け取り、トップ面談で売り手の考えを直接聞きましょう。
案件を見つけてから成約までの全体の流れは、個人がスモールM&Aで会社を買うには?探し方から成約までの流れを解説にまとめています。
よくある質問
マッチングサイトに出ている案件は、売れ残りではないのですか?
一概には言えません。
公開されたばかりの案件もあれば、条件が合わずに残っている案件もあります。掲載期間の長さより、譲渡の理由と事業の実態を確かめることが大切です。
遠方の案件も検討すべきですか?
自分が現場に通えるか、任せられる人がいるかで判断します。
距離があっても運営できる事業はありますが、引き継ぎの期間は現地に通う前提で考えておくと安心です。
まとめ
- スモールM&Aの案件の入口は、マッチングサイト・公的機関・金融機関や士業・知人の紹介・直接の声かけの5つ
- 1つに絞らず、マッチングサイトで相場観をつけながら、ほかの入口にも希望を伝えておく
- 問い合わせの前に、予算・関われる時間・譲れない条件を決めておく
- 譲渡の理由、オーナーへの依存度、従業員と顧客の見込みを確認する
案件の見極めや、買い手としての準備に不安がある方は、お気軽にご相談ください。支援の内容によって個別にお見積りいたします。
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執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
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