「借入の返済が重くて、来月の支払いが回らないかもしれない」。
そう感じ始めたとき、真っ先に検討したいのが「リスケジュール」という選択肢です。
リスケジュールは、倒産や廃業に進む前に取れる、資金繰りを立て直すための手段のひとつです。
この記事では、リスケジュールの仕組み、金融機関への相談の進め方、注意点、よくある疑問までを、中小企業診断士の立場から解説します。
資金繰りに不安を感じている経営者の方に、まず知っておいてほしい内容をまとめました。
リスケジュールとは、返済条件を見直して資金繰りを立て直すこと
リスケジュールとは、金融機関との間で借入の返済条件(返済額・返済期間)を見直してもらうことです。
英語の「reschedule(再調整する)」が語源で、金融業界では「リスケ」と略されることも多い言葉です。
結論から言うと、リスケジュールは借金を減らす手段ではありません。
毎月の返済額を一時的に下げたり、返済期間を延ばしたりすることで、手元の資金繰りに余裕を作る手段です。
借入そのもの(元本)はなくならず、いずれ約束どおりに返していく前提で進めます。
この点を誤解していると、金融機関との話し合いがかみ合わなくなるので、最初に押さえておきましょう。
リスケジュールの仕組み|金融機関は何を見て判断するか
リスケジュールは、金融機関が一方的に決めるものではなく、経営者側からの申し出とすり合わせで進みます。
金融機関がリスケジュールに応じるかどうかを判断する材料は、主に次の2点です。
- 一時的な資金繰りの悪化なのか、事業そのものが立ち行かないのかの見極め
- 返済条件を変えれば事業を継続でき、将来的に正常な返済に戻せるという見通し
つまり金融機関が見ているのは、「今は苦しいが、立て直せる会社かどうか」です。
この見通しを示す資料が、経営改善計画です。
売上や経費をどう改善し、いつから元の返済ペースに戻すのかを数字で示すことで、金融機関は検討のしやすい材料を得られます。
経営改善計画の作り方は、経営改善計画の作り方|自分で作る5つの手順で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
リスケジュールの進め方|5つのステップ
実際にリスケジュールを進める際の大まかな流れは、次のとおりです。
- 資金繰り表で現状を可視化する:いつ、いくら不足するのかを数字で把握します
- メイン行(主要な取引金融機関)に早めに相談する:支払いが滞る前に伝えることが重要です
- 経営改善計画を準備する:返済額をどう見直してほしいか、いつから元に戻せるかを示します
- 全ての取引金融機関に同じ条件で依頼する:一部の銀行だけ有利な条件にすると、他行の協力を得にくくなります
- 合意後は計画どおりに実行し、定期的に報告する:進捗を共有し続けることが次の信頼につながります
複数の金融機関から借入がある場合、関係者全員の合意形成が必要になり、自社だけで調整するのは難易度が高くなります。
このような場面では、中小企業活性化協議会のような公的な相談窓口や、経営改善計画の作成に慣れた専門家に早めに相談するのが近道です。
公的な相談先の役割については、中小企業活性化協議会とは?私的整理・事業再生を支援する公的窓口を解説で紹介しています。
リスケジュールをする際の注意点
リスケジュールを検討する際は、次の点に注意してください。
新規融資が受けにくくなる場合がある
リスケジュール中は「正常な返済ができていない状態」とみなされ、新規の融資審査が厳しくなる傾向があります。
ただし絶対に融資を受けられなくなるわけではなく、経営改善が進んでいることを示せれば、状況は変わっていきます。
早めの相談が選択肢を広げる
支払いが滞ってから相談するのと、滞る前に相談するのとでは、金融機関の受け止め方が大きく異なります。
資金繰りの悪化に気づいた時点で、できるだけ早く動くことが大切です。
リスケジュールだけでは解決しないケースもある
事業の収益構造そのものに問題がある場合、返済条件を変えるだけでは立て直せません。
その場合は、事業譲渡による会社の継続や、私的整理・民事再生といった別の選択肢も含めて検討する必要があります。
よくある質問
リスケジュールをすると今後の融資は受けられなくなりますか?
リスケジュール中は融資審査が厳しくなる傾向がありますが、受けられなくなるわけではありません。
経営改善計画どおりに実行し、業績が上向いていることを示せれば、金融機関との関係は徐々に改善していきます。
リスケジュールの相談はどこにすればいいですか?
まずは、現在借入をしているメイン行の担当者に直接相談するのが基本です。
複数の金融機関との調整が必要な場合や、自社だけでの交渉に不安がある場合は、中小企業活性化協議会などの公的窓口や、経営改善計画の作成を支援する専門家に相談する方法もあります。
まとめ|資金繰りが厳しくなったら早めに相談を
リスケジュールは、借入の返済条件を見直すことで資金繰りに余裕を作り、事業を立て直すための手段です。
ポイントは、「借金が減るわけではない」「早めの相談ほど選択肢が多い」という2点です。
資金繰りの悪化に気づいたら、まずは現状を資金繰り表で可視化し、経営改善計画の準備を進めましょう。
当社では中小企業診断士が、経営改善計画の作成や金融機関との相談の進め方についてご相談を承っています。
内容により対応範囲が異なるため、まずはお気軽にお問い合わせください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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