経営のことを誰かに相談したいと思っても、「どの中小企業診断士に頼めばいいのか分からない」という声をよく聞きます。
中小企業診断士は国家資格ですが、名刺の肩書だけでは、その人がどんな支援をしてくれるのかまでは見えません。ホームページを見比べても、どこも「経営改善」「補助金」「事業承継」と書いてあって、違いがつかみにくいものです。
この記事では、中小企業診断士を選ぶときに相談前に確かめておきたい5つのポイントと、選ぶときの注意点を、中小企業診断士の立場から解説します。
中小企業診断士の選び方|結論は「自社の話を一緒に考えてくれるか」
結論からお伝えすると、中小企業診断士を選ぶときにいちばん大切なのは、「自社の事情を聞いたうえで、一緒に考えて動いてくれるか」です。
診断士の仕事は、教科書どおりの答えを渡すことではありません。同じ「売上を立て直したい」という相談でも、業種や地域、従業員の数、経営者の考え方によって打ち手は変わります。
そのため、肩書や看板の大きさよりも、最初の面談で次の5つを確かめることをおすすめします。
相談する前に確かめたい5つのポイント
1. 相談したいテーマに関わった経験があるか
まず、自社の相談テーマに近い支援をしたことがあるかを聞いてみましょう。
経営改善計画の作成、補助金の申請、事業承継、M&Aなど、診断士が関わる分野は幅広くあります。経験の有無は、面談で「似た相談を受けたことはありますか」と聞けば答えてもらえます。
ただし、経験がそのまま答えになるわけではありません。制度は毎年のように変わります。過去の経験に加えて、新しい制度や業界の動きを学び続けているかも、あわせて見ておきたいところです。
2. 話をよく聞き、現場を見ようとしてくれるか
最初の面談で、こちらの話をどれだけ聞いてくれるかは大切な判断材料です。
数字だけを見て結論を急ぐのではなく、現場の様子や従業員のこと、経営者がどうしたいのかを確かめようとしてくれるか。必要に応じて店舗や工場に足を運んでくれるか。
支援が始まってからの関わり方は、最初の面談の姿勢にほぼ表れます。
3. 税理士・弁護士・社会保険労務士とつながっているか
中小企業診断士は経営全般の相談相手ですが、税務申告は税理士、法律事務や訴訟の代理は弁護士、社会保険の手続き代行は社会保険労務士というように、それぞれの士業にしかできない業務があります。
相談の途中で税務や法律の論点が出てきたときに、信頼できる専門家につないでくれる診断士だと、話がスムーズに進みます。「ほかの士業の先生と一緒に動くことはありますか」と聞いてみるとよいでしょう。
4. 登録や認定の状況を確かめる
中小企業診断士として活動するには、国(経済産業大臣)への登録が必要です。登録は5年ごとに更新が必要で、更新には研修の受講や実務の要件があります。
あわせて、相談内容によっては、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)やM&A支援機関登録制度への登録の有無も確かめておきましょう。補助金や支援制度によっては、こうした認定・登録を受けた支援者が関わることが申請の条件になっている場合があるためです。どの制度に何が必要かは、制度ごとの公募要領で確認してください。
5. 業務の範囲と進め方を書面で確かめる
依頼する前に、何をどこまでやってもらえるのか、業務の範囲と進め方を書面で確かめておきましょう。
「計画書の作成まで」なのか「計画の実行と見直しまで伴走してくれる」のかで、支援の中身は大きく変わります。報告の頻度や連絡の方法、契約期間もあわせて確認しておくと、あとで「思っていたのと違った」ということを防げます。
なお、費用は支援の内容により異なるため、個別に見積もりを取って確かめてください。
中小企業診断士を選ぶときの注意点
「必ず採択される」「必ず売れる」という言い方には注意する
補助金の採択やM&Aの成約は、最終的に審査や相手先の判断で決まります。結果を約束するような言い方をする支援者には注意しましょう。
1回の面談で決めなくてよい
相性は1回の面談では分からないこともあります。気になる点があれば、もう一度話をしてから決めても構いません。
診断士が何をしてくれるのかをもう少し詳しく知りたい方は、中小企業診断士は何をしてくれる?相談できる業務内容を具体例で解説もあわせてご覧ください。
公的支援機関で紹介を受ける方法もある
商工会議所・商工会やよろず支援拠点などの公的支援機関では、相談の内容に応じて専門家を紹介してもらえることがあります。まず公的支援機関で相談し、継続した支援が必要になったら民間の診断士に依頼する、という進め方もあります。
公的支援機関と民間専門家の使い分けは、中小企業の支援機関と民間専門家|相談先の使い分け方を中小企業診断士が解説で詳しくまとめています。
よくある質問
Q. 中小企業診断士かどうかは、どうやって確かめればよいですか?
名刺やホームページの記載に加えて、面談のときに登録の状況を聞いてみてください。きちんと登録している診断士であれば、問題なく答えてくれます。
Q. 地元の診断士に頼んだほうがよいですか?
地域の事情に詳しい、現場に足を運びやすいという利点はあります。一方で、オンラインでの面談や資料の共有を組み合わせれば、離れた地域の診断士に依頼することもできます。相談テーマとの相性を優先して選ぶのがおすすめです。
まとめ|選ぶ前に「一緒に考えてくれるか」を確かめよう
中小企業診断士を選ぶときは、次の5つを相談前に確かめておくと安心です。
- 相談したいテーマに関わった経験があるか
- 話をよく聞き、現場を見ようとしてくれるか
- 税理士・弁護士・社会保険労務士とつながっているか
- 登録や認定の状況
- 業務の範囲と進め方を書面で確認できるか
株式会社ステラコンサルティングでは、中小企業診断士が経営改善・補助金・事業承継・スモールM&Aのご相談をお受けしています。「まず話を聞いてほしい」という段階でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
執筆・監修
中小企業診断士/株式会社ステラコンサルティング 代表取締役
『個人でできるスモールM&A実践録―銀座のネイルサロンを買収した中小企業診断士』著者。M&A・事業承継・経営改善の実務支援を行う。
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